十月も半ばを過ぎて木々の葉は鮮やかに色付き、そして儚く散りゆく時期となりました。
やがて訪れる冬を前に、緑と花々で賑わいを見せたブナ林も様変わり。
そんな秋の深まりが増すブナ林を歩き、森に静かに佇む長沼を目指して「長沼 黄葉のブナ林トレッキング」の開催です。

色付きと落葉が進むブナ林は、緑が鬱蒼としていた夏のそれとは違ってすっかり明るくなりました。
林床まで日差しが良く届き、出発前に感じていた肌寒さは感じられなくなっていました。

足元に敷き詰められた落ち葉の絨毯の感触は柔らかくフワフワと脚に優しく感じられます。
カサカサ♪、サクサク♫、一歩踏み出す度に響く音も軽やかで心地好い落ち葉の道をゆっくりと。

秋の音と色を楽しみながら歩いてやって来たのはいっぷくの森。
スラッと背の高いブナが立ち並ぶブナ林の中、木漏れ日を受けながら小休止。

ブナ林の中は黄色がメイン。
大きなトチの葉も日射しに透けて黄色く輝いています。

「食べられるの?食べられないの?」と先ず聞かれるキノコ。
あちらこちらにキノコの姿が見られると秋らしさを感じますね。
あっ、これはツキヨタケ、食べられないやつですよ。

何撮ってるの?

大きなコブのある通称「お尻の木」。

大きく空が開け、一本の木道が姿を現しました。
大谷地に到着です。

これはっ‼
ツキノワグマのフンを見つけました。
フンの中身はブナの実の殻がいっぱい。
今、彼らは厳しい冬を越すために沢山食べて栄養と脂肪を貯える時期です。

再びブナ林の中。

綺麗な花を咲かせていたエゾアジサイは小さな実をたくさん着けています。
俯いた装飾花の薄紫色が綺麗です。
良く目立つ鮮やかなオレンジ色の実はマムシグサにアクシバ。
マムシグサはちょっとグロテスクに見え、アクシバはぷらんとぶら下がる様子が可愛らしく見えます。
あっちを見て、こっちを見てと中々忙しい秋の森です。

優しくそよぐ秋の風が水面を渡る長沼。
黄葉はすっかり散ってしまっていましたが、武骨なダケカンバの白が何とも言えない美しさを醸し出しています。
オオシラビソやコメツガなどの針葉樹の濃い緑がダケカンバの白を引き立てています。

そんな景色を眺めながら、穏やかお天気の中でのんびりと昼食。
良い景色の中でお喋りしながら食べるご飯は美味しさ倍増ですね。

この日の長沼は本当に「穏やか」の一言に尽きました。
帰り際に風が止み、美しい水鏡を見せてくれました。
帰りたくなくなっちゃうな…

沼の畔のナナカマドにマイヅルソウも綺麗な実をたくさん着けています。
途中で見たマムシグサやアクシバもですが、オレンジ色や赤い実が良く目に付きます。
有毒だとアピールする為、種子散布者の鳥に見つけてもらう為と理由は色々。でも、最終的には秋から冬にかけて目立つことで鳥に見つけてもらう為のようです。
じゃあ、鳥は有毒の実を食べても平気なの?
食べても平気な奴がいるらしいですよ~。

帰りの大谷地。
池塘には、まだ頑張っているミツガシワの葉が。

湿原の真ん中を通る道には、紅葉したレンゲツツジが残っていました。


誰が作ったのかな?小さな鳥の巣を見つけました。
去年のヌマガヤの茎を上手に組んで丈夫な巣を作り上げています。
葉が落ちると色々な物が見えてきますね。

綺麗な花を見せてくれたタチギボウシにミヤマアキノキリンソウは、それぞれの方法で種を散布しようとしています。

青空を飛ぶ一羽のホシガラスに見送られて大谷地を後に。

ブナ林へ戻りビジターセンターを目指すと、マメホコリにニカワハリタケ、ヤマアカガエルと、またまた見どころがいっぱい。
秋のブナ林を満喫です。

首が痛くなりそうなくらい見上げているのは、ナナカマドに出来たクマ棚。幹にはしっかりと爪痕が残されていました。
「凄いところに登るね」「落ちたりしないの?」などなど…
で、一番の疑問が今年はブナの実がたくさんある中で、何故木に登ってまであまり美味しくないナナカマドの実を食べたのか?
食べてみたかったのか、食べないといけなかったのか、真相を知るのはクマのみです。

色々な物を見て、秋の空気を感じて、少し西に傾いた秋の日差しの中をビジターセンターへと帰るのでした。

今回のイベントは、紅葉終盤のブナ林の中で深まる秋を十分に堪能出来たのではないかと思います。
何よりお天気に恵まれ、晩秋漂う雰囲気が最高でした。
あとは冬を迎えるのみですが、そこには季節が過行く物悲しさなど無い、楽しい一日になりました。

     くどう