八幡平スキー場から見る栂森(つがもり)に樹氷が白く輝いて見えます。栂森に吹く強風の荒々しい風景が目に浮かびます。それでも今日は晴天、いい日になりそうです。
アプローチが長いのがな~と思いつつも、登り口にはスキーのトレースがあります。
沢に架かる橋は2箇所。でも、橋など全く見えません。深いけど、やや湿っている雪はスノーシューもあまり沈まず、全く気になりません。少し頑張るとそこはベコ谷地。これから正面に見える栂森を目指します。
ふと目にとまるブナの冬芽。ここは条件がいいのか、開きかけた雄花が見えます。ビュービューの厳冬期が終わりをつげ、自前のセンサーで暖かな日差しを感じているのでしょうね。
栂森のアプローチはうねるうねる!ひとうね超すたびに、ため息が出てしまいます。
いっや~、それにしてもウサギたち。運動会の練習でもしたの?というほど。姿は見せませんが、足跡がぴょんぴょんと一面に。ここは”ワシらのホームグランド”と主張してるかのようです。
コシアブラの冬芽をかじり、ダケカンバの冬芽をかじり、なんたって口元の高さに食べ物があるのですからかじってしまうんです。ついですよ、つい。
でも、さすがにのんびりという訳にはいかないようで、歩幅150センチほどの全力疾走のトレースがありました。テンか?とも思いましたがテンの足跡は見つけられず、ここで走り出した彼には、私たちにはわからない事情があるのでしょうね。
もしや、と思い探してみると、こちらはオオシラビソの雌花(蕾)です。普段は高い位置にあるので、なかなか見ることはないのですが、雪の量+”マセタ若い木”のおかげで見ることができました。でも、オオシラビソの花はきれいだよ!ということを聞いたことはないので、きっと受粉して実を付けることに特化した鑑賞向きではない地味な花なのだろうと想像できます。
それでも、実物を見なければ納得できない気がしています。
こちらはよく見る雄花。キャビアは見たことがないので、私的には”トンブリ”のようだと表現します。モモンガの餌になる実です。
歩いても歩いても、栂森への道のりは長いのですが、いつの間にか国見台が真横に見えました。この尾根のヘリを進む栂森へのアプローチは、このコースのハイライト。オオシラビソの樹林がしだいにまばらになり、やがて遠くに特徴的な樹氷が見えてくるからです。
木も生えない栂森の強風地帯。東側には広い雪原。やがて、奥の方にポツリポツリと樹氷が・・・
個性的な栂森の樹氷たちにやさしいスポットライトが当たっています。
八幡平の樹氷をスノーモンスターの群れとすれば、栂森の樹氷はスノーモンスターの家族とでも表現しましょうか。
暖かい日差しにちょっと体調を崩したのでしょうか。樹氷の皆さんに元気が感じられません。
栂森からの、なだらか~な山並みで、どこが山頂なのか、さっぱりわからない八幡平。
八幡平を眺める栂森の樹氷たちの後ろ姿。
強風の吹き荒れる、荒涼とした栂森の風景。生か死か!中途半端は許さないと、問われている気がします。
ポコポコと続く「焼山」の山並み? 登山道(夏道)はこの山並みの下側を通って避難小屋を経由し名残峠に至りますが、冬の指導標を取り付けた冬道は最初のポコを巻いて、あとは稜線をたどって玉川温泉に出たのだそうです。
真ん中が焼山火山の中央火口丘、周りは火口をとりまく外輪。焼山の避難小屋がポツンと見えています。ガンコウラン、イソツツジ、イワカガミもまだまだ厚い雪布団の中です。
焼山の山頂は中央火口丘の向こうにある外輪の一番高いところでしょうか。明確なピークはわかりません。稜線上に長い雪庇が見えます
毛せん峠の”雪布団”の破れ目からガンコウランが顔を出していました。毛せん峠は風が強いので吹きさらしとなり、雪があまり積もらないのです。
布団の破れ目から顔をのぞかせているガンコウラン。
荒涼とした毛せん峠。歩道のガイドロープ支柱が見えています。積雪は40~50㎝+程度のようです。
サラサラの雪はひとたび風が吹くと舞う舞う。顔にバチバチ、頬にもバチバチ。
ひと山下るとさっきの風が嘘のよう。眼下に「国見台」、その向こうに八幡平の山並み。ここで見ると、八幡平の山並みの真ん中から少し右のピークは「藤助森」のような気がします。とすれば、その右が八幡平の山頂でしょうか。どこが山頂なのかわからないぐらいの”なだらか~な”八幡平の山頂の位置が初めて分かったような気がします。
栂森の斜面に、天気に励まされて元気なおじさんたちのトレースが二本。
栂森を下って、鞍部から国見台を登って、あとは後生掛の大湯沼を目指して下るだけ。
オッと、国見台は登山道がないので、ここ(国見台)からの、この眺望は今だけの限定ですので念のため。
八幡平スキー場から見える白く輝く栂森の樹氷、アプローチの長いのが難点ですが、感想をと聞かれれば、”よかった”の一言。
晴天の日に、どうですか。
あべ