春分の日だった前日の夜からの雪が弱まったものの、細かな雪が降り続ける3月21日、、「栂森スノートレッキング」を開催しました。
足元には、新雪がたっぷりと積もる中、春と冬の間で季節が行き来する栂森を目指します。
少し湿り気を帯びた雪は重く感じられますが、フワフワと柔らかな雪をラッセルしながらの山行です。

雪化粧したブナ林の中を新雪の感触を確かめながら一歩ずづ。
里は雪解けが進んでいるので、雪景色の中を歩くと何だか不思議な気分。

大きな樹洞のあるシナノキでツキノワグマの爪痕を探してみたり、樹洞を覗いてみたり。
気を付けて、クマ居るかもよ。

大きな冠雪や地衣類を観察しながら進みます。

ブナの枝の間から畚岳…
心の綺麗な人には見えるとか。

広い雪原と化したベコ谷地。
雪を舞い上げながら冷たい風が吹き渡る雪原は、春になれば美しい花々の踊る湿原に姿を変えます。

雪原をまっすぐ歩いてみよう!

ふり返ってみた結果はご覧の通り。
まあ、こんなもんですよ。

再びブナ林の中へ。
栂森へと続く稜線は真冬の様相。
この先は、標高が上がるにつれて植生が変化していきます。
まだまだ余裕を見せる皆さん。

ブナが細く背が低くなり始めた頃に現れた大きなダケカンバ。
周りをオオシラビソに囲われていましたが、太い枝で頭を押さえられた一本のオオシラビソが枯れてしまいました。
太いツルアジサイが幹に張り付き、キタゴヨウも着生しているダケカンバですが、いつの頃からここに立っているのでしょうか。
木がしゃべれるのなら、色々と聞いてみたくまります。

辺りがオオシラビソだけになると姿を現した雪おばけ。

こっちにもいるーっ!
チョット怖いけど、きっと歓迎してくれているんだよ。

オオシラビソの球果が全部崩れずに残っていました。
葉の間に雪が入り込んだり、冷やされた空気中の水分が風で叩きつけられて凍ったりした枝もモコモコと動き出しそうです。

めっちゃいる…

だんだんと背が低くなっていくオオシラビソたち。
気が付けば、いつの間にか雪が止んでいました。

諦めかけていた眺望も、八幡平方向が少し見えてきました。
このままお天気が回復してくれないかな…

そんなに上手くいくわけがなく、再び雪が降り出した栂森の手前、石仮戸へ向かう最後の急坂。
もう、オオシラビソの姿さえ少なくなってしまいました。
そして少しずつ強まる風…
もう、くどーさんはワクワクが止まりません。

吹きさらしの中を一歩ずつ。
冷たく強い風に、降る雪も舞い上げられた雪も痛いくらいに叩きつけてきます。

吹き付ける風の強さに辺りは霞んでしまい、僅かに顔を出した笹や灌木類も風下に向かってなびいています。

一度は樹氷を落としたオオシラビソも再び凍り付き始めていました。
見ている間にも、どんどん成長している様に思えるのは気のせいでしょうか。

栂森山頂からの秋田焼山は、真っ白でその姿を望む事は出来ませんでした。
各地から桜の便りが届くようになりましたが、何だか、季節が過行くのを嫌がる冬が駄々をこねているようです。

栂森山頂の秋田焼山観測装置の周りで、風に背を向けたり下を向いたりする参加者の皆さん。
流石は「風の栂森」です。
これを体感しないと春を迎えられない気がするのは、くどーさんだけでしょうか。

と、はしゃぐ皆さん。
めっちゃ楽しい。

あまりに風が強い為、雪が殆ど積もることの出来ない栂森、毛せん峠付近。
薄い雪の下から顔を出すイソツツジは膨らんだ冬芽が可愛らしく、ガンコウランは雪面に星を散りばめたようにも見えます。

お天気が良ければ秋田駒ケ岳などが望める毛せん峠も勿論、真っ白。
眺望は望めませんでしたが、栂森らしい強風にテンション爆上がりのくどーさんは、参加者の方にモデルをお願いして一枚。
良い顔してるー!

流石に強風の中でお昼とはいかないので、国見台直下のブナ林まで移動してお昼休憩。
先程までと違って、風を感じません。

お昼を食べて出発。
雪も止み、急な斜面を駆け下りたり、雪の重みで倒れたダケカンバのアーチをくぐったり。
栂森の強風を体感してきたからでしょうか、皆さん、良い感じの笑顔です。

「あっ、ウサギっ!」カメラが間に合いませんでしたが、賑やかに歩く気配に驚いたのでしょう、ノウサギが猛スピードで駆けていきました。
冬は耳の先だけが黒く体が真っ白な毛に覆われるノウサギですが、既に毛変わりが始まり顔が灰色っぽくなっていました。
先程は冬を体感してきましたが、季節は確実に春に向かっているようです。

良さげな斜面を見つけては尻滑り。
ふかふかの新雪が気持ちいいーっ!

ヤシャビシャクやブナハリタケを観察。
ヤシャビシャクは、スグリの仲間でブナの樹洞などの高い場所に着生するので冬に観察しやすくなります。
茶色くなってしまっていますが、実が残っていました。
ブナハリタケは、凍ったり解けたりを繰り返して水分が抜けてカラカラになっていました。

皆さんが見上げる先にあったのはクマ棚。
ツキノワグマがブナの実を食べる為に登り、折った枝が棚のように引っ掛ったもの。
「あんな細い枝に登るんだ」「怖くないのかな」「気持ちよさそう」等々、皆さんの反応も様々。

雪おばけ作者。

くねっと曲がったブナに腰掛けてみたり。

大きなブナの樹洞を覗いてみたり。

辿り着いたのは後生掛自然研究路の西端にある大湯沼。
火山活動でお湯が湧き出す大湯沼は、お湯の噴出する場所が少しずつ西に移動しています。

その最前線に立ち、様子を覗き見ると、「ボコッ、ボコッ」っとお湯や泥が湧き出す様子が見られました。
雪の上に残されたテンの足跡に、「何しに来たのかな?」「お風呂かな?」との声。
それはテンに聞かないとわからないなぁ。

先程のテンでしょうか、雪を掻き分けて進んだ後が。
深い雪は、動物たちも大変な思いをするみたいです。

そして締めの尻滑り。
何だかんだで、これが一番楽しそうな参加者の皆さんでした。

ゴールの秋田八幡平スキー場に到着。
ふり返れば、あんなに視界の悪かった栂森の姿がクッキリと。
山のあるあるですね。

今回のイベントは、前半に生憎の雪に見舞われた形となりましたが、逆に季節の変わり目の荒々しい栂森の様子を体感できたのではないかと思います。
荒天と好天をくり返しながら、徐々に春へと向かう山。
残念ながら眺望はありませんでしたが、厳冬期とは違う、春を迎えようとしている山を見て来れました。
標高によって見られるものが違ってくるのも面白かったですね。

     くどう