
イベント開始直前まで降ったふかふかの雪で木々が雪化粧を施した3月8日、冬のブナ林の様子を観察しながら歩く「ベコ谷地スノーハイキング」を開催しました。

雪が止んだばかりですが、直ぐに日が差し始めて新雪が目に眩しく輝く中でイベント開始です。

皆さんが見ているのは登山口付近の湿地の様子。


もこもこと可愛らしい雪の様子を見ていると、少し気の早い?ミズバショウの芽が出ています。
既にほころび始めているものも幾つか見受けられました。


立ち枯れの木に伸びたツタウルシは沢山の可愛らしい実を着けています。

これは何?


太いシナノキに出来た樹洞でした。
穴となると覗きたくなるのは何故でしょう?
代わるがわる中を確認しますが、残念ながらクマは居ないようです。

真っ白な雪面に静かに伸びる木々の影も、大きな冠雪も自然が創り出したアート。

ふかふかの新雪の中ですが、ブナ林に差し込む日差しが暖かくて冬と春が混在している様な不思議な感覚。

三色に分かれたツリガネタケの様子を見たり…

大きく横に張り出したブナの枝を見て…


ぶら下がって落ちたり。
冬のブナ林を楽しみながらゆっくり歩きます。


どうしても目に付くのがツキノワグマの痕跡。
いたる所にクマ棚や爪痕が残されています。


近年、何かとニュースになりがちなツキノワグマの痕跡に、興味津々の皆さん。

ベコ谷地が近づくとオオシラビソの姿が増えてきました。
枝葉に新雪を乗せたオオシラビソの間を潜り抜けて進むのが、何だか秘密の場所にでも向かう様で楽しくなります。

小さなものにも目を向けながら。
立ち枯れの木に見つけたのはマメホコリの仲間の子実体。
栄養成長期にはアメーバ状の形態で生活する粘菌。
子実体が雪の影響を受けて落ちずにしっかりと残っていてくれました。

穏やかなお天気に誘われたのでしょうか、あちらこちらから小鳥たちの声が聞こえます。
声はすれども姿は見えず…
ブナの枝先を声を頼りに見つけたのはヒガラでした。


広い雪原と化したベコ谷地に到着。
雲の落とす影が雪面を静かに流れるように移動する様子を見ながら休憩です。

誰も歩いていない真っ新な雪原に一歩を踏み入れる感触が気持ち良いので、横一列に並んで「真っ直ぐ歩くチャレンジ」。
皆さんの性格が表れる催しです。

頑張れっ!

だいたい真っ直ぐ。
ん?何だか、人数よりトレースが少ないなあ?
「性格が表れる」催しでした。



再び林の中に入って、今度は落書きタイム。
大きな冠雪をキャンバスに筆?いや、ストックを走らせます。
春になれば消えてしまいますが、画伯たちの大作が出来上がりました。

そんな画伯たちの近くでコゲラがトントントンと木をつついて餌探し。


ブナの間から大沼が望める展望地へ。
ほんの一部を残して雪に覆われた大沼を見下ろします。




展望地でお昼を食べた後は地衣類の観察をしながら。
虫ピンの様な形のピンゴケや、葉に針で刺したような穴が開いているセンシゴケ、こんもりと木の様な形でお皿のような子器を着けたバンダイキノリ、細長くて主軸から直角に分かれる沢山の分子の様子がゲジっぽくも見えるフジサルオガセ。
他にも沢山の地衣類が見られて時間が幾らあっても足りないくらい。

またクマ棚?と思って近づいてみると、鮮やかなオレンジ色の実を着けたアカミノヤドリギでした。

そして昨年よりベコ谷地コースに導入された迫力満点のスーパースライダー!
長い斜面を一気に滑り降ります。


雪煙を上げて声を上げて、ブナの森の中が大賑わい。

この人なんか、姿が見えないくらいの激しい雪煙。
その様子を冷静にカメラが狙っています。

カメラが捉えた衝撃の瞬間。

一度味を占めると少しの斜面でも滑ってみたくなるもので、最後の最後まで雪を楽しみます。
ちょっとカオス…

最後の一人は皆に見守られながら。
ちょっと恥ずかしい…

あとは雪の中を流れる川を見ながらゴールへと向かいます。
今回は春の陽気を思わせるような穏やかなお天気の開催でした。
スタート直前まで降った柔らかな雪の感触を確かめながら歩くブナ林はとても綺麗でしたし、何も無いと思われがちな冬のブナ林で新雪を楽しみ、生き物たちの息づかいを感じ取る事が出来たのではないかと思います。
まだまだ冬の様相が色濃い山ですが、着実に歩み来る春の気配を肌で感じられた一日でした。
くどう