またまた訪れた寒波がたっぷりの雪を降らせた2月23日、冬の厳しい環境が生み出す美しい樹氷原を目指して「八幡平樹氷トレッキング」を開催しました。
荒天に見舞われる事も多いこの時期の八幡平、寒波の最中と考えると樹氷の出来は良さそうです。
深い雪に苦しめられそうですが、美しい光景を思い浮かべると楽しみで仕方ありません。

秋田八幡平スキー場のリフトにのってスタートすると雲の間から陽差しが。
お天気は回復傾向?などと思いながらリフトを降りると新雪は膝丈を越える勢いで、ラッセル部隊の活躍に期待が寄せられます。

青空が広がり始めた中、雪と霧氷を纏った木々の間を登山口を目指してアスピーテラインに向かいます。

雪に閉ざされた八幡平アスピーテライン。
道路標識がこんなに近くなる程の積雪で覆われています。

登山口からの急坂は、このコースで一番の難所??
息を切らしながら深雪の中を一歩ずつ。

この辺りのオオシラビソは背が高くブナやダケカンバの間にまばらに生え、まだ枝に雪を載せているだけの状態。
これから標高を上げていくに伴って、木々の様子が変化していきます。

ブナが消え霧氷を着飾ったダケカンバの間を歩いて急坂を登り切り一休み。
いつの間にか青空が見えなくなり雪が舞い始めました。
スノーシューを履いても雪の深さは膝上に達しています。

お天気が目まぐるしく変化する中、少しずつ樹氷らしくなっていくオオシラビソたち。

ダケカンバの姿が減り、オオシラビソは徐々に丈が低くなると同時に密度が増していきます。

木に取り付けられた指導票も雪に埋もれそうな勢い。
長く続いた寒波が連続で訪れた事で、かなり積雪が多くなっている事がわかります。

振り返ると、雲の切れ間からの光に秋田焼山が白く輝き始めていました。
思わず足を止めて見入ってしまいます。
それにしても長い列…
この日は私たちの他にも樹氷原を目指すグループが幾つもあり、一緒に交代でラッセルをしながらの山行。
一つのトレースを皆で使うので、ペースもあまり上がらず山の中に行列が出来てしまうのは仕方ありません。
ラッセルをしてもらえるだけでありがたい事です。
そして長い行列に、八幡平の樹氷の人気が伺い知れます。

いつの間にか辺りをスノーモンスターに取り囲まれていました。
光の加減で刻々と見え方が変わっていく樹氷の様子に目が離せません。

次々と迫り来るスノーモンスターたち。
でも、襲ってくる事はないのでご安心を。

樹氷のアップ。
冷たく冷やされた空気中の水分が、強い風によって叩きつけられて瞬時に凍り付いて樹氷は成長していきます。

雪山に伸びる行列。
先行してくれた方々も深雪に悪戦苦闘のようです。
素晴らしい光景を見たくて頑張っています。

立派な樹氷を間近に笑顔がこぼれます。

標高が上がって、背の低い樹氷が多くなりました。
一つとして同じ形のものが無い美しい自然の芸術です。

その美しい様子をカメラに収めようとする皆さん。
この瞬間にしか出逢えない一期一会の光景だもの。
トレースを外れて深い雪の中に入ってまで撮影したくなる気持ちも良くわかります。

立ち並ぶ樹氷の間を進んで…

田代沼に到着。
雪が降り始め風も強くなってきました。

時計を見ると丁度お昼。
吹きさらしで昼食を取るわけにもいかず、かと言ってこの先に進んでも1時間は行程に遅れが出るであろうという事で、食事を軽く済まして下山する事にしました。
更に先を目指す方々を見送り、樹氷を背景に笑顔で記念撮影です。

今回のイベントは、下見も本番も寒波の影響を受けた深雪の中となりました。
しかし、そのお陰で例年以上に立派なスノーモンスターたちに出会う事が出来ました。
お天気も目まぐるしく変化し、雪や冷たく強い風に見舞われる事もありましたが、この時期の八幡平にしては穏やかなお天気。
ラッセルしながらなのでペースが上がらず八幡平山頂やその先の小屋までは行けませんでしたが、他のグループの方々との連携もあって、なんとか田代沼まで到達出来たのは幸運だったと思います。
山の神様、山で出会った方々に感謝の1日でした。
(ご参加いただいた皆様には、当日のしおり掲載の二次元コードよりアンケートへのご協力をいただけますと幸いです)

     くどう