市街地では桜が満開になり、たくさんの芽吹きが見られるようになりました。ですが八幡平の山々にはまだまだ雪が残っています。山々が瞬く間に姿を変えようとしている残雪期、どんな八幡平が待っているのでしょうか。

 ここ数日は晴天が続きましたが出発時は濃い霧に包まれた天候となりました。

 春の気配を察知し膨らみかけ、特徴的な形をしているのはオオカメノキの冬芽。何に見えますか?
ほころびかけの冬芽に水滴がしがみついています。

 こちらは暖かそうなフリースを着たタムシバの冬芽。今日は水に濡れていて少し寒そうです。
 厳しい冬の間ずっと辛抱してきた冬芽たちですが、春が近づいた今、フリースを脱ぎ始めています。

 早速クマの食事痕であるクマ棚を発見しました。たくさんのツキノワグマが生息する八幡平。そろそろ冬ごもりから目覚める頃でしょうか。

 同様にクマの爪痕も発見しました。歩けば歩くほど爪痕の残る木が見つかります。爪痕が無い木は存在しないのではと思われるほどあたり一面爪痕だらけでした。

 面白い木を発見しました。クマが冬ごもりするには開きすぎですね。

 第一の目標地点、よんご沼に着きました。一面を覆っていた氷はなくなり、当日は吸い込まれそうな深い青色をしています。

 見る角度によって色が変化するよんご沼。霧と相まって神秘性が際立ちます。

 道中かなり新しいカモシカの足跡を発見しました。この他にも小さな個体や大きな個体など複数の個体の足跡があり、もしかしたら会えるのでは⁉と期待が膨らみます。

 さらに、数日前のものですがクマの足跡も発見しました。怖いだけの存在ではなく、たくさんの爪痕などクマの痕跡がたくさん見つかる森は豊さの象徴でもあるのではないでしょうか。

 本日の昼食場所の長沼に到着しました。霧に包まれた幻想的な景色の中、氷の上をおっかなびっくり渡ります。(じつはスタッフが下見の際に氷を掘ってみたのですが、なんと1m近く掘っても貫通できませんでした。解氷している沼もありますが、標高や地形の差でしょうか、長沼はもう少し先のようです。)

 ダケカンバのアーチがありました。若く細い木は雪の重みに負け折れてしまう木も多いですが、力強く耐えている木も多くあります。

 一度折れてしまっても負けじと成長を続けた木も見かけます。積雪量が多い八幡平ならではの光景ですね。

 ぬっ

 背もたれ付の椅子がありました。

 おしりにジャストフィットし、しかもコケのクッション付き!

それにしてもどのように折れたらこの形になるのでしょうね。

 登山道から少し外れた位置で冬にしか来れない幹回りが日本で2番目のシナノキの巨木に到着しました。気の遠くなるような時間をここで過ごしているシナノキですが、感嘆の眼差しで見上げる参加者の皆さんに囲まれれ少し嬉しそうでした。

 第二のドラゴンアイと呼ばれているツボ沼では先ほどの天候とは打って変わり青空の広がる快晴となりました。縁取りの雪がうっすら青がかっておりここまで歩いてきた人へのご褒美となりました。

 今年度最初のトレッキングイベントとなりましたが、残雪期ならではの固まって歩きやすい雪、開けた景色を見ることができました。夏は藪で見えないところ、冬は深雪で見えないところ、そんな景色が見られるのが残雪期の楽しみなのではないでしょうか。

 さて、今年度の八幡平ビジターセンターもぜひお楽しみくださいませ。
 

                                       いちたろう