東北地方の梅雨入り宣言と共に前日から降り続く雨の中、6月25日開催の「満開のイワカガミ群! ぐるっと焼山トレッキング」の下見に行ってきました。
ブナの森の中は風を感じず、頭上で枝葉がサワサワと揺れる音と木々の葉を雨が打つ音のみが聞こえてきます。
葉で受け止めた雨を集めた樹幹流が、ブナの根元の苔から雫となって落ちていました。
この雨が地面に染みこみ伏流水となり、やがては川へと注いで私たちの下へ届くまで、どれほどの年月を要するのでしょうか。
しっとりと濡れたオオカメノキの花や、足元に咲くミツバオウレンを見ながら森の中を歩きます。
ベコ谷地に到着。
湿原のイワカガミは、漸く蕾を膨らませ始めたばかり。
タテヤマリンドウは、花を固く閉じて雨が上がるのを待っています。
湿原のはずれに咲くミネザクラは終盤を迎えつつあります。
雨に散る花びらが、鮮やかな緑のコバイケイソウの葉の上に。
美しくも物悲しく、何とも言えない風情のある光景です。
少し進んだ場所にあるオチクラミズバショウ。
雨でも二枚の真っ白な苞が眩しい程です。
未だ所々に残雪の残る道を進むとムラサキヤシオも見頃。
良く見ると、花の中には沢山の小さな虫たちが雨宿り中です。
道脇にイワカガミやイソツツジが見え始めました。
湯ノ沢が近づいてきました。
眼下に湯ノ沢が見えました。
湯ノ沢に下りると、雨のせいか心成しか水量が多いようにも感じられます。
周囲を見渡すと、少し霧に霞んではいますがイソツツジの群落も。
湯ノ沢からの登りは辛いですが、道の両脇を花たちが彩ってくれています。
小さな小さなミネズオウ、ピンクのイワカガミ、霧に霞みながらも白く浮き上がるイソツツジなどに飾られた花道です。
登り切った場所にはイワカガミのピンクの絨毯。
霧に覆われ、ぼんやりと優しい色合いに見えるのも、お天気の良い日と違って趣があります。
が、時々吹き付ける風が冷たく感じられます。
どのくらいの風が吹き付けるかというと…
シャッタースピードを上回る速さでイワカガミの花が激しく揺れる程でした。
手が冷たい…
旧火口の細尾根を進み…
霧の中に焼山避難小屋が見えてきました。
どこにって?
目の前に見えてますよー。
霧に佇む避難小屋到着です。
本来であれば、ここから名残峠に行ってくるはずなのですが、悪天候のため断念。
名残峠のお花たちは、イベント当日のお楽しみに取っておきましょう。
帰りは毛せん峠を経由して。
ゴゼンタチバナが咲き始めていました。
毛せん峠付近では、コケモモも風雨に耐えながら可愛らしい花を咲かせています。
眺望は…
毛せん峠を過ぎると残雪が残っています。
表面には、波のような模様が創り出されていました。
霧の中に立つオオシラビソたちが幻想的な風景を見せてくれます。
再びブナの森へと入り、間もなくゴール。
白く輝くギンリョウソウの姿が見えています。
そして、この時期定番のヤマナメクジの交接シーンで下見の締め括りです。
今回の下見は雨の中となりましたが、しっとりと潤いを得た森の様子と焼山周辺の花の様子を見てくる事が出来ました。
名残峠まで行って来れなかったのは残念ですが、イベント当日までの楽しみが増したという事でご容赦頂きたいと思います。
名残峠や毛せん峠からの眺望、イワカガミを始めとする花々の競演に期待が高まります。
くどう