1泊2日のこの企画。
一日目は履き慣れないスノーハイクを楽しみながら慣れてもらい、二日目はちょっとだけレベルアップしてブナ林の中を散策しましょうという事で、今回は秋田八幡平スキー場のある山毛森(ぶなもり)に下見に行ってきました。
現地に到着すると、前日からの雪が着雪して木々が白く雪化粧。
更に少し大きめの雪がゆらゆらと空から落ちてきています。
スノーハイクを装着して森の中へ足を踏み入れると…
雪の重みで木々の枝が枝垂れ、モノトーンの景色が広がります。
雪のカーテンをくぐるように進み、幻想的な世界へ。
少し空が明るくなってきました。
「雪持ち」の大きなブナがこちらを見下ろしている直ぐ側を歩いていきます。
こんな光景も…
この木は、やがてゆきに埋もれてしまいます。
せっかくなので、くぐり抜けてみました。
意外と楽しい…
辺りを見回すと、枝垂れた枝に着いた雪が今にも襲い掛かって来そうな、そんな錯覚さえも覚えてしまいました。
すごく重そうですね。
隣のブナに寄り掛かられたブナ。
あと何年位この態勢でいるのでしょうか?
どちらも大変そうです。
俯いたツルアジサイのドライフラワーにも、雪がこんもりと積もっています。
オオカメノキのうさぎさんも、ふかふかの雪の綿帽子を被っています。
大きく、こんもりとした雪のかたまりを発見しました。
大きなマシュマロみたい。
裏に回ってみると、折れた木の上の「冠雪」ということが解ります。
1m以上の雪がのっています。
といううことは、私の足元にはこれ以上の雪が積もっている事になります。
もうすぐ「山毛森の主」が見えてきます。
主の手前には、ブナたちに囲まれて立つオオシラビソが。
たっぷりとアイシングされた、ケーキに飾られるお菓子のようです。
「山毛森の主」が見えてきました。
ぶなもりの主は、ブナではなくミズナラだという…
まあ、それも面白いところです。
近くに寄ってみると、幹には沢山のコブが出来ていています。
コブの上にも雪が積もり、幹をぐるっと取り囲んでいるのが、クリスマスツリーの装飾のようです。
というか、あちらがこのような様子を真似たものなのですが…
見上げれば大迫力!
流石は主と呼ばれるだけのことはあります。
主の近くには、こんな形のブナもありました。
幹の途中に出来たコブが特徴的です。
雪の上にテンの足跡。
軽く飛び跳ねるようにして雪の斜面を登っていったようです。
高いところだけではなく、色々な場所に目を配ってみましょう。
サワグルミの葉痕はスヤスヤとお休みしている顔みたい。
どんな夢を見ているのかな…
ヤマウルシの実たちも頭にこんもりと雪をのせています。
どこからか視線を感じて振り向くと…
木々の間に、こちらの様子を伺うモンスター!
もしやイエティ⁉
正体は、雪に被われた小さなオオシラビソでした。
今年は実を着けることが出来なかったブナも多い中、このブナは幾らか実を着けたようです。
残された殻(殻斗)が雪に被われています。
秋に落ちなかったブナの葉に、薄っすらと雪が積もっています。
ブナは、この葉を春までに雪の力を借りて落とします。
もし春の芽吹きまで落とす事が出来なかった場合は、雪によって脱色された透けるような色合いに変化していきます。
青空が覗く中、主に見送られて帰り道。
しーんと静まり返った森の中で、様々な雪の造形美を堪能します。
今日は一人ですが、楽しくて仕方ないです。
少しの間ですが、音のない世界の音に耳を澄ませてみました。
しーんとした音と、時々風の音、サラサラと雪が木から流れるように落ちる音、ちらちら舞う小雪の音、空中を舞いながら雪がキラキラと輝く音、そのまま静かに雪の上に落ちる音、スーッと差してくる陽差しと同時に伸びる影の音までが聞こえてきました…
そんな気分にさせてもらえる、物凄く贅沢な時間を過ごす事が出来ました。
陽差しに伸びる影と、スノーハイクのトレース。
ブナに着生したコケが凍り付きそう。
木々の根元には、こんな空洞が。
何か、小さな動物がひょっこりと顔を出しそう。
出で来ないかな。
こちらのブナは、キラキラと氷のアクセサリーを身に纏っています。
色々と見ながら進み、ゴール。
振り返ると、たった今まで私を楽しませてくれた森がキラキラと輝いて見送ってくれていました。
前回の大沼よりも、ちょっとだけレベルアップしたコースの中で大沼とは少し違った雰囲気を味わってみませんか。
「のんびりスキーハイキング」、楽しいですよ。
くどう