百年前の湯治客も歩いた道で八幡平の歴史をたどりながら、標高が上がるにつれて移り行く紅葉の景色を楽しむトレッキングです。八幡平一合目「八幡平神社」を起点とする登山道で、徒歩や馬、近年はジープでも上ったことから”ジープ道”とも呼ばれています。

現在は利用する人もなく、閑散としていて、たぶん誰にも会うことはない道です。

道のわきにツリバナがありました。

看板も道標も出ていないのですが、よんご沼の少し上にある沼「よんご五尺」に到着です。

誰もいない静かな沼で翼を休めていた鳥が慌てて飛び立っていきました。

そして、少し戻ったところに「よんご沼」があります。

ここも看板は出ていませんし、登山道から少し入ったところにあるので知る人ぞ知るといった沼です。ただ、名前があることから人との関わりがあったことが想像されますし、何よりもここの紅葉は素晴らしいのです。ふけの湯(当時は熊澤温泉)を目指した湯治客がここで休んだに違いありません。

鏡のような水面に一週間ほど早い紅葉の景色が映っていました。

木の上に看板が取付いています。さきほど、ここには看板も道標もないと言ったのですが、この看板は? これは冬の指導標68番、一合目1番から八幡平山頂300番をつなぐスキーツアー用のものなのです。

ここに取り付けられてから70年近くなるのでかなり痛んでいますが、当時のスキーツアーの方たちは吹雪の日にこの標識をたよりにこの前を通ったのでしょうね。

ジープ道にキノコ採りのおじさんなのでしょうか、現在の車の轍が付いています。

先の方が明るくなってきたのでもうすぐ「大谷地湿原」です。

ぱ~と視界が開け、紅葉の「大谷地湿原」に到着です。

周りの景色を眺める前に足元のヒツジグサの色付きをまず眺めて・・・”こんなに小さいのによくま~色を付けて”とか何とか。

ジープ道(ふけの湯古道)は湿原を縦断しています。

前も右も左も今まさに「大谷地湿原」は紅葉が真っ盛り!

大谷地の西側、ダケカンバの黄色越しの山はどうやらブナ森のようです。

大谷地の西北側、ブナとミズナラと背の低い黄色はミネカエデのようです。手前の赤はレンゲツツジ、ほんのアクセント。

大谷地の北東側、紅葉の山越しに針葉樹主体の「菰の森」がのぞいています。

などの景色をぐるりと眺めながら、赤や黄色に囲まれたふけの湯温泉到着。

大沼よりも標高が少し高いふけの湯温泉の周辺は一段と紅葉が進んでいました。

野天風呂につかり、紅葉を眺める贅沢はいかがでしょう。先ほどの大谷地とも違う赤の多い景色です。

当日はバスの車窓からという眺めになりますが、ふけの湯を見おろす位置から大谷地湿原と菰の森、そして今が見ごろといわんばかりの紅葉景色をご覧ください。昔湯治客の方々がナベ窯を背負って訪れた時に眺めた景色と思えば、その思いもひとしお、今は車で簡単に訪れることが出来るところですが当時は最寄りの国鉄駅から一日がかりの行程だったそうです。