厳冬期の八幡平に現れる「スノーモンスター」は3時間頑張った人だけが逢える絶景。

「今年も逢いたいな~」とは誰しもの思い。今年は来たけど、来年は・・・

下界は晴れだったのですが、案の定というか予報通りの空模様となってきました。あまりひどい天気になったら、予定変更もありうるということで皆さんにはお伝えしているのですが、あきらめきれない、というのも人情です。

まずはリフトが動いていたので、山毛森(ブナ森)のてっ辺に集合して、スノーシュー装着、準備体操も終わって、出発準備中。

さすがに誰のトレースもありません。昨日はすごい天気でしたから、今日のスタッフはラッセル用にスキーを履いています。

さあ、出発です。

雪はスノーシューを履いて膝+-、気温が高いせいか少し重たく感じます。

先週、ここを通った時の看板の高さは、頭の上でしたので、結構積ったようです。

今年は雪が多いとか、少ないとかの議論はありますが、結局は帳尻が合うようになっているのだと思います。

皆さん、黙々と。取付きの急坂にあえぎながら、頭の中ではグルグルと、いろんなことを考えていると思います。

雪は吹き溜まりと吹きさらし。吹き溜まりのウネ越えに先頭のスキーが苦心しています。参加者の皆さんにも二番手のラッセルを交代で行ってもらっています。

「あれは樹氷ですか?」、まだまだ。

この霧氷のバックがもし、青空だったら、もし風がやんでくれたら、満開のサクラの風景がそこに出現するかもしれません。

風が結構あります。ここは指導標131番付近です。

誰も注目してくれませんが、ツルアジサイのちっちゃな霧氷の景色。

皆さん、黙々と進んでいます。

整然ときれいに並んだ一列は運動会の行進以来。今日の参加者の皆さんは、なんてお行儀がいいんでしょう。

山頂付近が荒れても、この指導標174番付近の霧氷は素晴らしいとお伝えしていました。楽しみにしていた方もいたかもしれませんが、残念なら御覧の通りです。

標高が上がると、風はいよいよひどく、もはや樹氷原は無理と思わざるを得ません。

ここはどこなの?と聞かれ、冬山指導標220番、250番の八合目「田代沼」の手前。とお答えしても、何が何やらといった皆さん。もちろん風雪に痛めつけられるのでゴーグルとマスクで完全防御で露出した部分をなくしているので表情はわからないのですが。

グループが離れないように後続を待っています。八合目まで行くと、山頂方向に広がる樹氷原が見えるので、その景色を見ていただきたいと思っていたのですが、どうやらそれもかなわないようです。本日の行程はこの先の八合目「田代沼」で引き返すことになりました。

逢いたかったスノーモンスター、なりかけのその姿に思いを込めて目玉を入れてくださった方。気持ちがよくわかります。このモンスターの表情にも表れているようです。

おう!こちらにも。

さあ、八合目「田代沼」到着です。と言われてもどこがどこやら・・・ 頂上ってどっち?

本当は樹氷原をバックに写す集合写真のはずでしたが、樹氷原はどこにも見えません。寛大な参加者の方たちはそれでも元気ポーズをとってくれます。頑張った自分を褒めているのかもしれません。この悪天候のなか、ここまで頑張ったのですから。

毎年、樹氷原に通っている方が、三年前にものすごい青空にあたった。自分の経験だと、青空が当たる確率は十年に一度かな。と言っておられました。運のいい方とか、そうではない人はいるのかもしれませんが、樹氷の山は雪も多くて風も強い。ということは事実のようです。

なぜ、この厳しいところに来るのか、と自問自答する人もいたかもしれません。”訪れる人を魅了する圧倒的なスノーモンスター群”これだけですよね。登山者の聖地なのですから。

ありがとうございました。

   あべ