2月12日(土)里は冷え込みが強くなり青空が広がる良いお天気の中、環境省補助金事業(国立・国定公園への誘客事業)「スノーハイクで冬山さんぽ」を開催しました。
集合場所の秋田八幡平スキー場も青空が広がり、雲がゆっくりと流れています。
このところ続いた好天が木々の枝先に着いた雪を落としてしまい、ブナの森が黒々と見えていますが、森の中はどんな光景が広がっているのか楽しみです。
開会式を済ませリフトに乗ってスタート。
リフト上から振り返ってみると、真っ白に輝く国見台と栂森がこちらを見ています。
なんだか、山の表情がにこやかに見えるのは気のせいでしょうか。
見上げれば太陽の周囲の雲が虹色に彩られています。
だいぶ気温が上がってきたようで、リフトに乗っていても寒さを感じなくなりました。
ぽかぽかと暖かい陽気に気分も上昇中です。
リフトを降りると、真っ白な雪をたっぷりと抱えたダケカンバやオオシラビソたちがお出迎えです。
足元の雪もキラキラと輝きを放ち目に眩しい景色がひろっがていました。
先ずはブナ森山頂を目指して森の中へ。
雪に彩られた木々の間をくぐって進みます。
お天気が良いと動物たちの活動も活発になります。
夜中に駆け回ったのでしょう、真新しいウサギの足跡が残されていました。
雪の重さに耐えきれず、枝が折れてしまったダケカンバ。
その折れた傷をまた雪が優しく覆うように隠してくれています。
標高1206m+積雪3mのブナ森山頂付近では、ゆっくりと流れる雲に太陽が陰ることもありますが、美しい雪の造形美を堪能しながらの散策。
独特の雰囲気を醸し出す白銀の世界の中を空を流れる雲のようにゆっくりと進みます。
雪面に散るダケカンバの種。
鳥のように翼を広げた可愛らしい姿から、通称「ダケカンバード」。
ブナの枝先に、ふんわりと雪の塊が着いてそよ風にゆらゆら揺られています。
森を抜けて一旦スキー場のゲレンデへ。
指さす先に見えるのは…
森の中に佇む、雪原と化した大沼。
普段、中々見る事のない上からの大沼。
再び雪持ちの木々の立ち並ぶ森の中へ。
ゆっくり滑ってみたり、小さな沢を越えたりしながら歩きます。
高さ2m超の巨大なめこ。
森の中は様々な形の雪のオブジェがいっぱいです。
想像力を働かせながら見て歩くと楽しいですよ。
大きな樹洞のあるシナノキ見つけました。
外側にはツキノワグマが出入りしたであろう痕跡が残されていて、中を覗くとホワ~ッと暖か。
寒い日に誰かが避難したのでしょう、あまり大きくない爪痕が幾つか残されていました。
雪の影響で剝がれかけているのはセンシゴケ、白っぽい緑はエビラゴケ。
「で、これは何?」と言う声が聞こえてきそうですが、これらは地衣という珪藻類と菌類の共生体です。
色々な場所に、めちゃくちゃ居るので機会があったら観察してみて下さい。
雪の海月。
キラキラ輝きながら垂れ下がるつららは触手?
カッコよくターン!
ではなく、尻もちをついたのでしたー。
ブナの枝に下がる雪紐。
雪が、枝に紐のように垂れ下がっている様子から付いた呼び方です。
アスピーテラインに出ました。
この日は、作業用重機が走行した跡がありました。
重機の走行した跡に降りて、そこから柔らかな雪へダイブ!
その痕跡は人それぞれ。
まだまだ人の訪れることのないアスピーテラインにマーキングしてきました。
再び森の中へ戻って「ブナ森の主」へ向かいます。
が、その向かう行程に難あり⁉
斜面をゆーっくり滑り降りる人、雪煙を上げて強引にターンを決める⁉人…
あま、とにかく色々でしたー。
ブナ森の主、ミズナラの巨木に到着です。
ブナ森の主がミズナラ…
これ如何に。
いずれにせよ、この木は長い間八幡平の歴史を見続けてきたに違いありません。
堂々とした風格は、まさに「主」と言って過言ではありません。
キャーッ、かわいーっ!
主の近くで見つけたのはサワグルミの葉痕。
スヤスヤと眠っているように見えるのが可愛らしいです。
葉痕は、文字通り葉っぱが着いていた跡。
樹種によって形が違うので、色々と見比べてみると面白いかもしれませんよ。
そしてゴールへと向かう私たちを枯れ落ちたツルアジサイが静かに見送ってくれていました。
今回は、今シーズンのイベントの中で最高のお天気に恵まれた中での開催となりました。
眩しい程の白銀の世界だけでも贅沢ですが、普段は見られない雪の造形美を見て、生き物たちの冬の様子が伺えたり、柔らかで優しい雪の感触をたっぷりと体感出来たりと贅沢尽しでした。
今シーズンのスノーハイクを使ったイベントは今回で終了ですが、冬の森の散策にピッタリの素敵なアイテムなので、今後もめいっぱい活用していけたら良いと思っています。
まだまだ八幡平の雪を楽しめるイベントはありますので、今後もよろしくお願いします。
くどう