前日に、八幡平ビジターセンターのある大沼周辺は雪に覆われたのが噓のような青空が広がる10月24日、ひんやりとしながらも気持ちの良い空気に包まれた中で、「秋の里山観察会 志張ふれあい散策路を歩こう」を開催しました。
集合場所は志張温泉入り口バス停。
秋田八幡平へ訪れる方々を出迎えるゲートが目印です。
参加者の皆さんが揃うのを待つ間に見つけたスズメバチの巣。
もう、ハチの姿は無く、静まり返っていました。
皆さんが揃ったところで志張温泉元湯さんへ移動。
いよいよ散策開始です。
何を見ているのかというと…
川岸に見える地層。
この地層は、周辺が海の底だった時代の海底火山の噴出物が堆積したものです。
まだ胞子を飛ばす前のホコリタケ。
ふっくらと柔らかでした。
林の向こうから秋の日差し。
ミズナラやトチ、ホオ、ブナ、カエデたち、豊富な樹種の林の中が黄色味を帯びて明るく見えます。
鮮やかなオレンジ色のカッコイイ奴はイシサワオニグモ。
産卵を控えて腹がパンパンです。
くどーさんは、めちゃくちゃテンションが上がります。
やっぱり生き物がいると楽しいです。
ガマズミの実は赤くてツヤツヤ、クロモジの実は黒く輝いています。
あ、実の話で思い出しましたが、植物の紹介をすると「花を咲かせるんだ~」、「実を着けるんだ~」、「種を着けるんだ~」と言われる事が多々あります。
一部を除く大体の植物は、木も草も花を咲かせて種を着けますよ。
ガマズミの葉が赤く、マルバマンサクの葉が黄色く色付いています。
どちらも綺麗ですね。
大きなカツラの木。
葉からカラメルのような甘い香りが漂います。
色付いたブナの下から眺める谷向こうの紅葉。
拾ったのはヤマブドウの葉。
少し茶色がかっていますが、赤い綺麗な葉です。
見上げると、手の届かない高い場所にヤマブドウの実が。
鳥や動物たちのの貴重な食糧です。
イタヤカエデの虫食いの葉を空にかざして見ると、切り絵のようにも影絵のようにも見えます。
一枚でも綺麗ですが、複数でも綺麗。
今年はカエデ類の虫食いが凄いのですが、こうして見ると芸術的です。
サワグルミの実がぷらぷら。
川原に下りて石を観察。
海底火山の噴出物の堆積物から出来た石や、火山の溶岩爆発由来の石、水蒸気爆発由来の石など様々見られます。
水の無い川をうろうろ。
ニホンカモシカもうろうろ。
足跡だけですけどね。
会いたいなー。
日々色濃くなる紅葉に囲まれた志張温泉元湯さん。
今は休業中ですが、営業再開が待ち遠しいです。
下見の時にツキノワグマの糞を見つけた場所。
前回はサルナシを食べた後のフンでしたが、今回は三色。
またまたテンションの上がるくどーさん。
真ん中の赤いのがガマズミ。右側がヤマブドウで紫がかった色合い、左はサルナシが少しと草の実や種がメインで緑色です。
フンの大きさから、今年親離れしたような若グマと思われますが、どうやら、ここに居着いているようです。
会いたいなーと思うのですが、姿を見せてくれないんですよね。
それにしても、三色のフンは面白いです。
食べた物が判るので、なお更面白い。
同時に、やっぱり今年はブナやミズナラなどの堅果が少なく液果ばかりを食べているようで、このフンの落とし主が無事に冬を越せるのかが気掛りでもあります。
落ち葉の散策路をゆっくりと。
サクサクと落ち葉を踏む音が心地良いです。
石の上に座ったように生えている木。
ねじれているのは、フジに絡まれていた木。
枯れたフジの蔓を取り払ったら、こんな姿になっていたとか。
フジは「絞め殺し」の異名を持つ恐ろしい奴で、こんな風にして絡んだ木を絞め殺してしまうこともあります。
どんどんフジが成長すると木は成長できなくなってしまうのです。
皮を剝いたミカン?のような形のキノコ、ツチグリも見つけました。
雨が降ると外側の堅い皮が開き、乾くとギュッと皮が丸い部分を潰すように閉じて中央の穴から胞子をふきだします。
時間をかけて、じっくりと観察すると面白いですよ。
かなり地味ですが…
今回のイベントは、前日の雪の影響が心配でしたが、(路面凍結も無く、皆さんが無事に参加出来ました)寒さも感じられない良いお天気の中での開催でホッとしました。
志張ふれあい散策路周辺の紅葉はピークには少し早かったですが、色付いた木々の中をのんびりと歩くことが出来ました。
いろいろと観察も出来ましたしね。
短いコースですが、時間をかけて歩くと様々なものを観察出来る楽しい場所です。
くどう