久しぶりにすっきりとした青空が広がった1月19日、大沼をぐるっと一巡りする「大沼外輪スキーハイク」を開催しました。
朝の気温は低かったものの、眩しい太陽の光で暖かく感じられる中で新雪に覆われた大沼は真っ白な雪原に姿を変えていました。
スキーハイクでゆっくり歩いたり滑ったりしながら、冬の大沼外輪を散策開始です。
雪面に美しく伸びる木々の影を断ち切るようにブナ林を抜けて雪原と化した湿原へと下ります。
傍らにはテンの足跡も残されていました。
つい足を止めて見入ってしまったのは、小さな水の流れの周りのモコモコとしたお餅の様な雪の姿。
グリーンシーズンは絶対に立ち入る事の出来ない場所を歩くので、新鮮な眺めが続きます。
立ち寄った小さな沼には水鳥たちの姿。
オシドリにカルガモ、マガモの姿が見られましたが、こちらの気配に気付いて飛び立ってしまいました。
冬の観察の定番となったヤドリギ、アカミノヤドリギ。
冬でも緑の葉を茂らせ色鮮やかな実を着けて、ツグミの仲間やレンジャクなどの鳥の貴重な食べ物になります。
真っ白で真っ平らな大雪原、前の人のトレースをたどるだけでは勿体無い。
真っ新な雪の上に一歩を踏み出し、フリーウォークでふかふかの新雪の感触を味わってもらいましょう。
とは言ったものの、まだ転ぶところではないのですが…
よっぽど、雪と戯れるのがお好きなようです。
氷と雪に覆われた大沼の岸辺で見付けたのは、小さな鳥の様な形の通称ダケカンバード。
ダケカンバの球果がポロポロと崩れたものです。
小さなツブツブは翼のついた種子。
ダケカンバは、こうして冬の間に種をこぼします。
雪化粧のオオシラビソをくぐって、いよいよ大沼西側の外輪山へ登ります。
登った先に待っていたのは、日本で二番目のキタゴヨウの巨木。
ビジターセンターの大きな窓からも見える、あの木です。
幹回り4m38㎝は三人がかりで漸く手が回る程。
皆さんで代わるがわる手をまわしてみます。
あ、頭の上の雪は落ちてこないのを確認済です。
皆に抱きつかれて、なんだかキタゴヨウも照れ臭そう…
雪持ちのブナ林の中を歩くと、ツキノワグマの爪痕やヤマガラなどカラの仲間が餌探しに翻弄していたり。
雪持ちの木々の間から見える遠くの山は白くなっています。
霧氷を着飾った木や樹氷が山肌を覆っているようです。
もちろんスキーなので斜面は滑って下ります。
なかなか良い感じ。
ですが、豪快に雪煙を上げて転んじゃいました。
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼
バーーーーーーーーーーンっ!
転ぶと先ず写真を撮られます。
ってか、カメラ近っ。
どんなに転んでも雪がふかふかなので痛くないので思いっきり転ぶことが出来ます。
下りの後には登りが待っていました。
山に沿って吹き上げてくる風が通り抜ける、通称「風の谷」を越えて今度は大沼北側の外輪山の稜線へ向かいます。
どこかで聞いた名前とお思いでしょうが、我々スタッフの一部が勝手に言っているだけなので某有名アニメ映画は全く関係ありません。
雪面に残る風紋は、一つとして同じ形のない風が作りだした芸術。
稜線近くは強い風が吹き付ける事が多く、木が倒れた事で出来たギャップが点在します。
去年のグリーンシーズン中に倒れた大きなブナもありました。
ブナ林の中に出来たギャップは邪魔な木の少ない広い空間。
ならば滑って遊ぼうと、それぞれ滑ってもらいましたが…
雪と戯れる皆さんの写真が増えました。
滑って転んでいるだけじゃなく、ブナ林の様子も観察。
ギャップが出来て相当時間が経っている様で、ブナの幹の小さな洞に着生したノリウツギを見つけました。
大沼の周りでよく見ますが、こんな場所に生えたものは今まで見たことがありませんでした。
ブナ林の中を観察したり滑ったりしながら到着した展望地は、大沼で唯一凍らない小川の注ぎ口の様子や途中で見た白い山並みが近くに見られる場所。
それこそ、グリーンシーズンには絶対に行くことが出来ない秘密の場所です。
青空に真っ白な山並みが眩しく見えます。
今回のイベントは好天に恵まれ、日が高くなるにつれて汗ばむ程の陽気の中で終始賑やかに過ごすことが出来ました。
雪景色の中、今しか行けない場所で今しか見られないものを見て、八幡平の雪の感触をたっぷりと味わう事が出来たのではないでしょうか。
転んだってヘッチャラ、童心に帰って楽しめば良いだけなのです。
皆で転べば怖くないのです。
くどう