連日の陽気に木々の芽吹きも進む4月27日、志張ふれあい散策路を舞台に「志張の森 自然観察会」を開催しました。
春の装い深まる里山で、ゆっくりじっくり観察会の始まりです。

いきなり指の匂いを嗅がせられていますが、変な匂いでもするのでしょうか…
湿潤な岩の陰で見つけたジャゴケをゴシゴシすると、爽やかな香りがするのです。

木々の影が程よい日陰を作ってくれる林床には、カタクリやキクザキイチゲが花盛り。
春の陽差しに輝き、そよ風にゆらゆらと揺られています。

落ち葉の上に姿を現したのはニワハンミョウ。
山の中なのにニワハンミョウ…
素早い動きで、なかなか写真を撮らせてくれずにピントがボケてしまいましたが、遠目には地味な体をよく見るとキラキラ輝いています。

開花したばかりのクロモジも陽の光に透けています。
この日は双眼鏡を片手に散策。
この双眼鏡は焦点距離が短いので、離れたものは勿論、近くのものも良く見える優れもの。
小さな花の、細かな部分も見逃しません。

風に揺れる花々のようにゆらゆらと歩けば、林床の其処彼処に咲く可憐な花々が否が応にも目に入ります。
その都度聞こえる感嘆の声と深いため息、この光景に心奪われない人はいないのではないでしょうか。

春の訪れは足元ばかりではありません。
トチの枝先では葉が展開し始め、花序も成長してきました。
花が咲くのが楽しみですが、蜜を求める虫たちも待ちわびている事でしょう。

ビロードツリアブが落ち葉に滴る雪解け水を飲みにやって来ました。

垂れ下がるように咲いた雄花と上に向かって咲いた雌花はブナの花。
実は多くの生き物たちの大切な食糧となりますが、今年はどれくらいの実がなるのか気になるところです。

オオカメノキは装飾花が開き始めています。
しわしわの葉も可愛らしいですね。

夢中になって写真を取り忘れてしまいましたが、雌雄異株のキブシの雄花と雌花の違いを観察しました。

目線を上に下にと大忙し。
タマゴケは可愛らしい丸い朔をつけていました。

イタヤカエデにハウチワカエデ。
花の色と秋の葉の色はリンクするのでしょうか。
黄色い花のイタヤカエデの葉は黄色く色付き、赤い花のハウチワカエデの葉は赤く色付きます。

淡い緑の中をゆっくりと。

見頃のヤマザクラが青空に映えます。

川原に下りてお昼休憩。
辺りは間もなく春紅葉に包まれる事でしょう。
春は優しい色がいっぱいです。

春風に運ばれ水面に漂うヤマザクラの花弁は、ゆらゆらと静かに揺れる小舟のようです。

足元の花々を踏まないように。

最後は、シジュウカラをはじめとする小鳥たちが見送ってくれました。

今回のイベントは、例年のこの時期に比べると暑すぎる程の天候の中で催行されました。
気候変動の影響なのでしょうか…
それでも、植物も生き物も、それぞれのペースでそれぞれの営みを送っています。
ここでは紹介しきれなかった沢山のものを見て、触れて、観察して、「新しい世界が広がった」「今まで気にして無かったものも詳しく知れた」「疑問に思っていた事も解決した」等の声を頂きました。
そして、美しい花々に一喜一憂する参加者の方々の様子に開催して良かったなと心から思います。
また、今回使用した双眼鏡もなかなかの好評でした。
遠くも見られて、近くも見られる便利なアイテムです。
次回、この双眼鏡を使用して、5月3日に「大沼野鳥観察会」を開催しますので、興味のある方は是非ご参加頂ければと思います。

     くどう