8月26日(土)、朝から日差しが強く照り付ける中、蓬莱境と蓬莱沼を舞台に「コケ・シダ・トンボの楽園でミクロの世界へ」を開催しました。
連日の猛暑の中、涼を求めて出かけるには打って付けのコースです。
蓬莱境の入り口では、強い日射しの中で花々を飛び回りながら吸蜜中のキアゲハがお出迎え。
いよいよ、蓬莱境へ。
巨岩と古木のゲートをくぐって蓬莱境へ一歩足を踏み入れると空気が変わるのが手に取る様に判ります。
木々が日差しを遮り、周囲のコケたちが蓄えていた水分が蒸散される時に周辺の熱を奪ってくれるので、ひんやりと涼しく心地好い空間が広がります。
大きなコメツガに残されたツキノワグマの皮剥ぎ。
毎年、皮剥ぎの範囲が少しづつ大きくなっています。
この一帯をテリトリーとしているクマのマーキング行動です。
クマいないかなあ…
いるといいなあ…
空に向かって聳え立つのは巨岩の上に根付いたコメツガの古木がこちらを見下ろしています。
ゆっくりと、緑鮮やかなコケたちを見ながら。
そこに息づく植物たちを見ながら。
その、独特な風景と雰囲気を見ながら。
時々味わうアドベンチャー感。
蓬莱沼へ到着。
澄んだ水面は周囲の木々をクッキリと映し出しています。
アオモリアザミの上でウラギンヒョウモンが待ってくれていました。
静かに水を湛える沼の畔に、可愛らしいタヌキの足跡が残されていました。
食べ物となる小さな生き物たちを求めて来たのでしょうか。
浅瀬では、アオイトトンボやオオルリボシヤンマが次世代へ命のバトンを繋ごうと懸命に活動中。
四肢が生えて上陸したばかりの小さなモリアオガエル。
オタマジャクシの名残、ちょっとだけ尾が残されています。
森へ向かう前に、少し休憩でしょうか。
岸辺には、ミズギクやサワギキョウ、エゾオヤマリンドウなどが見頃を迎えていました。
ここの花たちは、少し小振りで可愛らしく思えます。
静かな蓬莱沼は、命で満ち溢れていました。
ツキノワグマの痕跡を見ながら帰り…
もうすぐ駐車場という所で、旅する蝶、アサギマダラにも出会えました。
彼等はこの後、遠く南西諸島や台湾まで空の旅に出掛けます。
間近に見る事が出来たアサギマダラに夢中になって撮影中。
今回のイベントは、例年のこの時期らしからぬ気候の中での開催となりました。
その分、涼やかな蓬莱境と蓬莱沼の水辺の心地良さも体感することが出来たのではないでしょうか。
イベントを開催すると植物や生き物の名前を知りたくなるものですが、何よりも八幡平の原始の森の姿が残ると言われる蓬莱境の景色と独特な雰囲気を味わって欲しいというのが一番。
あの異空間にいるような感覚は何とも言えません。
また、静寂の中にありながら命息衝く蓬莱沼も楽しんで貰えたのではと思っています。
くどう