夜間の雨が上がって薄暗い雲がゆっくりと流れる9月27日、里よりも一足早く山に訪れた秋を堪能すべく、「秋田焼山 紅葉トレッキング」を開催しました。

目指す秋田焼山はあの稜線の向こう。
厚い雲が稜線をかすめるように流れていますが、お天気は回復傾向なのでどんな光景が見られるのかと期待が高まります。

秋の深まりと共に少しずつ明るくなっていくブナ林の中を歩いていると、いつの間にか木々の間に青空が覗き林内に木漏れ日が差すようになっていました。

足元には花の季節の最後を彩るエゾオヤマリンドウ。

おやっ、とっくに花期の終わったはずのツルリンドウを見付けました。
本来なら赤い実をつけている時期なのですが、間違えちゃったのかな?

登山道から木々の間に見える空は明るくなったり暗くなったりを繰り返していますが、標高が上がるにつれて色付きの進んだ木々が見られるように。

間もなく国見台展望地。
後方に後生掛自然研究路の大湯沼が見えています。
八幡平方面は雲の中。

眼下に広がるブナ林は黄色味を帯びてきました。

毛せん峠に近づくと、背の高い木はオオシラビソだけに。
あちらこちらに大きな球果がついていました。

オオシラビソの間を抜けて毛せん峠へ出ると、流れる雲の間から日が差していました。

手を伸ばせば雲に届きそうな感覚の中、幾重にも重なる山並みを眺めながら休憩。

すぐそこに見える秋田焼山の直ぐ上を雲が流れています。

どんどんお天気が良くなっていく中、色付いた灌木の間を焼山避難小屋へ。

今は立ち入り禁止の湯ノ沢。
丁度日の当たっている斜面のダケカンバ林が黄色くなり始めていました。
山肌を流れる、雲が落とす大きな影も味わい深いものがあります。

避難小屋の周辺もすっかり秋の景色。
綿毛に姿を変えたアキノキリンソウが風に揺られていました。

すっかり秋らしい姿に変わった鬼ヶ城を越えて名残峠へ向かいます。

春にピンクの花で目を楽しませてくれたイワカガミの葉が濃い赤に。

ミネカエデも鮮やかに色付き始め、目に眩しい程。

白く可愛らしい実をつけたシラタマノキも紅葉し始めています。

迫りくる大きな岩の下を抜けると、「シューッ」、「ボコボコ」と噴気やお湯の湧き出す音と共に荒々しい光景の火口湖、湯沼が現れます。

写真を撮る人たち。
前、歩き始めてますよー!

あと少し…

名残峠到着。
爽やかな秋風が頬を優しくなでる中、雄大な景色と荒涼とした光景を望みながら一休み。
普段と違い、ゆっくりとした時間が流れる一時でした。

山肌を駆け上がる風にのってノスリが秋の空を舞っていました。

今回のイベントでは、紅葉真っ盛りとは言えませんでしたが秋の様相が色濃くなった秋田焼山を楽しめたのではないかと思います。
標高を上げるにつれて変化していく植生と景観と稜線からの眺望、肌に感じる爽やかで快適な秋の風と、参加者の皆さんには好評を頂けた様です。
これから季節が進むにつれて標高の低い場所でも紅葉が見られるのが楽しみになる、そんな山行でした。

     くどう