
天気予報とにらめっこの日が続き、前日夜間の雨が止んだ6月15日、秋田焼山の砂礫の山肌を彩るイワカガミに会う為に「秋田焼山トレッキング」を開催しました。


雨が止んだばかりのブナ林はしっとりと濡れ、霧が流れ込む中を進んで行きます。

雫を纏ったサンカヨウ。
ほんの少しだけ花びらが透けていました。


雨が止んだばかりで湿度が高く少し蒸し暑く感じられる登山道。
あちらこちらに雪が残る中でムラサキヤシオが花を咲かせています。

足元には小さなイワナシの花が。
長い道のりの間、花々が参加者の皆さんの目を楽しませてくれます。

ブナ林を抜けて国見台の展望地へ。
残念ながら深い霧が立ち込めて展望は利きませんでしたが、静かな風に流れる霧がこれまでの道のりで火照った体に心地好く感じられます。

休憩中も元気な皆さん。
この勢いで霧も晴れて欲しいと願うばかりです。

漸く顔を出したばかりのミズバショウは「小さくて可愛い」とお褒めの言葉を頂いていました。

霧に濡れながらも、「こっちだよ」とホシガラスがこちらを誘う様に鳴いていました。

残雪の上は涼しく感じられ、つい足を止めてしまいます。
6月も半ばになり暑い日もあったのに、雪がこんなに残っているとは…

霧の切れ間、ブナやダケカンバの鮮やかな緑とオオシラビソの濃い緑に覆われた山肌が浮かび上がります。

雪の上、オオシラビソの間をくぐって毛せん峠を目指します。


毛せん峠に差し掛かり、先ず迎えてくれたのはイソツツジ。
雫を貯えたその姿に、撮影会が始まります。

イワカガミもさいていますよ。


毛せん峠で休憩しましょう。
山並みが見えないのが残念ですが、頭の直ぐ上を漂う雲が迫力ある様子を見せてくれたり幻想的な光景を見せてくれたり。
周りに日射しを遮る物がないので、雨も降らずに丁度良いとの声も。

ここからは雲に入ったり出たり。
早速雲の中に突入です。



ミネズオウ、イワカガミ、イソツツジと歓迎の花々の中を進みます。


山肌のいたる所に残る雪。

焼山避難小屋。
この日は他のグループもいて、先行しているグループは鬼ヶ城を登っていました。


鬼ヶ城を越えて火口部へ。

活火山の秋田焼山火口の湯沼を雲が流れる様子は荒々しくも幻想的。
風に乗って、ゴボゴボとお湯の湧き出す音やシューッと噴気の音が聞こえてきます。

撮るしかないよね。


さあ、いよいよここから山肌を彩るイワカガミを堪能しましょう。

あ、花に見惚れて転ばないようにね。

荒涼とした景色がイワカガミのピンクで華やかに。

やっぱり撮るよね。

イワカガミの中を歩いて名残峠へ。

名残峠でお昼休憩。
景色は見えませんが、沢山歩いて食べるご飯は格別。




霧を集めた雫を身に纏い、風に小さく揺れるイワカガミたち。
美しさにため息が出る程の光景です。
イワカガミは恥ずかしがり屋さんなのか、みんな俯き加減に花をさかせています。気付きました?
斜面に生えているものは低い方を向いていますね。どうしてでしょうか?
花自体の重さで自然に斜面の低い方に下を向いているだけでした。
なので、ストローのような口を持った蝶や、蟻などの地面に入る昆虫に花粉を媒介してもらいます。
蝶は花の上に止まっても口を伸ばせるし、蟻は簡単に花までよじ登れますね。
持ちつ持たれつ、良く出来てるな。

火口湖の斜面にはイワカガミに負けじとイソツツジも咲き始めています。


下山の時、キラキラと雫の光るガクウラジロヨウラク、コヨウラクツツジも素敵でしたよ。
今回は、残念ながら雄大な展望を眺める事は出来ませんでしたが、秋田焼山の可憐な花々を楽しむ事が出来たイベントになりました。
山肌をピンクに染めるイワカガミの美しさを堪能出来たのではないかと思います。
花を見る度に湧き上がる参加者の皆さんの声が印象的な一日でした。
イワカガミもイソツツジもまだまだ咲いていきますので、秋田焼山はしばらくの間賑わいそうです。
くどう