朝から日射しが強く、色鮮やかな緑とエゾハルゼミの声がシャワーのように降り注ぐ6月7日、緑溢れる季節を満喫しに出かける「長沼 新緑トレッキング」を開催しました。

木々の葉が日射しを遮ってくれるブナ林の中は心地好く、林床には沢山のブナの実生が見られました。
この中から、どれ程のものが大きく成長を遂げるのでしょうか。

葉を裏返して観察しているのはオクエゾサイシン。
「こんな目立たない花、言われなければ見逃しちゃう~」
だから紹介してるのよ。

木漏れ日のブナ林をサクサクと落ち葉を踏み鳴らして歩きます。

出会ったのは小さな小さなヤマアカガエル。
おそらく去年産まれたのでしょう、隣のブナの殻斗と比べてもその小ささが良くわかります。
頑張って大きくなるんだよ。

お尻の木。
いつもこのコースで出迎えてくれる、大きなコブが出来たブナです。

ショウジョウバカマが姿を現すと…

目の前に広がるのは大谷地。
最近まで湿原の周りに雪が残っていた大谷地はミズバショウが次々と顔を出し、少しずつ緑色に染まってきました。

そしてこの時期に気になるのがヤマドリゼンマイの新芽。
クルクル丸まった新芽がギュッと寄り添って、なんだかひそひそと内緒話でもしているみたい。

大谷地を過ぎて直ぐの場所に咲いていたのは、参加者の皆さんが楽しみにしていたサンカヨウとキヌガサソウ。
どちらも大きく広げた葉の上に咲く花が良く目立ちますが、実はキヌガサソウの白い部分は花弁ではなく萼が白く変化したもの。
その様子に惹かれたのか、車座に開いた葉の上にシロオビクロナミシャクが一匹。
人々を引き付ける魅力的な初夏の花々です。

もうね、皆さん写真を撮るのを止められなくなるくらいなんだもの。
おーい、おいていくよー。

足元にはキクザキイチゲが花盛り。
雪消えが遅かった場所には春の花の姿も見られ、春と初夏が混在する不思議な空間を創り上げています。
こんな綺麗な様子を見ると足が止まっちゃうよね。

ダケカンバとブナを始めとする広葉樹の優しい緑とオオシラビソとキタゴヨウ、コメツガの濃い緑が特徴的な長沼の新緑の光景。
ビジターセンターから100m程標高が上がっただけですが、何だか空気が違って感じるのは気のせいでしょうか。

涼やかな風が水面を渡る新緑の長沼でお昼休憩。
景色が良いとご飯も美味しく感じられます。

お昼を食べたら今度は長沼の南側の湿原と、長沼を取り囲む林縁の花々を見に向かいましょう。
今年は数の少ないブナの花を見つけました。
雄花は花粉を飛散させ終わり、雌花も受粉が終わったようで殻斗らしさが現れています。

湿原はミズバショウとエゾノリュウキンカが先を争うように次から次へと顔を出し、日射しを受けて眩しく輝いています。

「わーっ!」、「きれーい!」、「すごーい!」…
見事な群生に声が上がったかと思うと、直ぐに撮影が始まるのも何だか面白い。
喜んで頂けて、連れて行った甲斐があります。

帰りも春の花々の様子を見ながらゆっくりと。

どこか涼し気で可憐なツバメオモト。

それを撮るくどーさんを見る皆さん。

おや?
これはギンリョウソウじゃないですか。
花が咲くのは何時になるのかな?

そして、このイベントの常連さんのヤマナメクジ。
こちらの様子を伺っているのか、大触角を出したり引っ込めたりしていました。
やっぱり、山は生き物がいるとより楽しい。

今回のイベントは、いつも咲いている花が遅れているなど、例年よりも少し遅かった雪解けの影響があちらこちらに現れていたように思います。
それでも優しい色合いの新緑と沢山の花々を見て、春と初夏の雰囲気の混在する今を堪能して頂けたのではないかと思います。
どんどん季節が移りゆく様子が楽しくて仕方ないこの頃です。

     くどう