
前回の寒波の影響で積雪の増した雪面にノウサギやテンの足跡が残された2月16日、秋田八幡平スキー場のある山毛森を舞台に「山毛森 白銀スキーハイキング」を開催しました。
曇り空の下でチリチリと細かな雪が降ったり日が差したりと忙しい空模様の中ですが、スキーハイクで冬のブナ林散策です。

スキー場のリフトを降りて山毛森山頂を目指します。

標高1206m、ブナの中にダケカンバやオオシラビソが混じる山毛森山頂付近。
夏場は藪の中ですが、2mを越える積雪の上は木々の間隔が広くて解放感があります。


ツキノワグマの爪痕が残されたブナをじっくり観察。
目の高さにクマ棚が残されていたので…


手に取ってみたところ、クマが折った枝にはしっかりと爪痕や歯で付けた傷が残されています。
昨年秋はブナの実が比較的多かったのですが、きっと実が熟して落ちるのを待ちきれないクマが木に登ったのでしょう。

元気なものも立ち枯れのものも、オオシラビソがたっぷりの雪を枝に積もらせています。
一つとして同じものが無く、その瞬間にしか出逢えない雪の造形美。

モノトーンの世界に色を挿すのはナナカマドの実。

雪持ちの木々の間を軽快に滑り降りて…

どーん!

めっちゃ集まってきた。
何人掛かり???



日が差してきました。
雪の造形が綺麗ですねー。


転んだらすぐに駆け付けるサポート隊の皆さんが大活躍。



だんだん滑るのが上手くなってきました。
深雪に包まれたブナ林に賑やかな声が響き渡ります。
何度転んでも笑顔なのが良いですね。

雪オバケ。
描きたくなるよねー。

表皮が剥がれたツタウルシの実は紙風船?ぼんぼり?

立ち並ぶブナの中に一本の気になる木…



樹洞の出来たシナノキ。
近づいてみると、幹にも樹洞の入り口にもツキノワグマの爪痕が残されています。
夏に樹洞で休んだり、場合によっては冬籠りに使ったりするので、使える樹洞かどうか覗きに来たのかも知れません。


穴があれば覗きたくなるのはクマも人も同じようです…
クマ居るかもよー。

中はちょっと狭いけど、めっちゃ深い…
そりゃそうだ、だって2mを越える雪の上から覗いているんだもの。
クマはおらず、この物件は内見で気に入られなかったようです。


雪に閉ざされたアスピーテライン。
静まり返った様子に、観光客の車が行きかうようになる春が待ち遠しくなります。

再びブナ林の中へ。
平らなブナ林をあっちを見たり、こっちを見たりしながらゆっくりと。

そして目的地の山毛森の主、ミズナラの巨木へ。

思わず主に抱きつく巨木好きのお姉さん。

この場所に立ち、長い間八幡平の歴史を見続けてきた主の前で記念撮影。



その後も賑やかに雪を楽しんでイベント終了となりました。
今回のイベントは山毛森を山頂から下る中で変化していく植生や、自然が創り出す雪の造形美、更には木々に残された痕跡から八幡平に暮らすツキノワグマの生活を少し垣間見る事が出来たのではないでしょうか。
そしてスキーハイクで滑ったり転んだりも、厳冬期の山の雪の感触を味わえる最高の時間だと思います。
真冬の静かなブナ林で生き物たちの息づかいを感じながら、笑顔で賑やかに楽しく歩けたのが一番。
参加者の皆さんのお陰です。
くどう