冷え込みが強く朝からすっきりとした青空が広がった1月11日(土)、秋田八幡平スキー場のある山毛森(ぶなもり)を舞台にスキーハイク試乗体験を開催しました。
午前、午後の2回開催で午前はブナ林の中に静かに佇む隠居沼を訪れるコース。午後はブナ林の奥に鎮座する巨木に会いに行くコースです。

スキー場からは白く輝く国見台、栂森がはっきりと見え、周辺の木々は霧氷を纏って目に眩しい程。
穏やかなお天気の中、深雪も登りも楽々、滑りも楽しめるスキーハイクの試乗体験の始まりです。

隠居沼を目指す午前の部。ゲレンデからブナ林に入るとキハダやナナカマドなどの木の実が観察出来ました。
食べ物の少ない厳冬期に、鳥たちの命を繋ぐ大事な食糧になります。

林内のあちらこちらに咲き誇る霧氷の花。

真っ白な雪に覆われたブナ林の中をゆっくりと進みます。
スノーシューより浮力があり、板を滑らすように歩くと一歩の歩幅が大きくなるのが良いところ。

勿論、スキーなので下り斜面は滑りを楽しむことも出来ます。
深雪も何のその!

たっぷりの雪を枝にのせた「雪持ち」の木を眺めたり…

クマ棚の掛かったブナを観察したり。
幹にはしっかりと爪痕が残されていました。
「よく、こんな高い木に登るものだな」という声が聞こえてきます。
ツキノワグマも生きる為に必死ですからね。

木々の影が幾重にも伸びる雪面をスーッと滑り降ります。
下り斜面の度に、「わーっ」「きゃーっ」「うぉーっ」と静寂に包まれたブナ林に賑やかな声が響き渡ります。

樹上の霧氷が冬の日差しに解け始めてひらひらと舞う様に落ちてくる様子も見られました。

雪面を駆け回った足跡はアカネズミのもの。
上を見たり下を見たりと大忙しでした。

いきなり飛び立つカルガモの群れ。

ビジターセンター裏の泥火山の湯沼で休んでいたところを驚かしてしまったようです。
ごめんね。

ボコッ、ボコッと活発な活動が続く泥火山。
ビジターセンターから100m程の場所なので、夏場は誰でも見に行くことが出来ます。

いよいよ目的の隠居沼に到着。
この林内には複数の泥火山が点在していて、この隠居沼もかつては活発な泥火山が見られたリお湯が激しく湧き出しいたであろう場所。
今は僅かなガスとお湯が静かに湧くだけの活動が休止に向かっている沼です。
御隠居様の僅かに開けた静かな水面に映る景色も見事でした。

そんな御隠居様にお別れを告げてゴールへと戻ってきました。

午後のコースは山毛森の主に会いに行きます。

午後の日差しに雪がモッチリとして見えるブナ林へ。

やっぱりクマ棚に目が行ってしまいます。

幹に近づいてみるとツキノワグマの爪痕がしっかりと残されています。

林内のあちらこちらに残されたツキノワグマの痕跡に、この場所が彼らの生活圏であることを再認識。

主に会いに行くためには、この斜面を滑り降りなければならないのですが…

なんだかカオスな状態に…

賑やかなに声を上げながらも、転んだ数だけ上達していくのでした。

主ことミズナラの巨木に到着。
抱きついてみると、その大きさが良く判ります。
長い長い年月をこの場所に立ち、多くの生き物たちの命を支えてきた木。
八幡平の歴史を見て来た木です。

可愛らしい、サワグルミの葉痕を観察。
少し冷え込んできた午後のブナ林の中で、ほっこり暖かくなる気がします。

さてさてゴールを目指す皆さんは、滑りを楽しんだり雪と戯れたり。
最後まで賑やかに過ごした皆さんでした。
良い顔だね。

今回のスキーハイク試乗体験は、スキーをした事のない方も参加して頂けました。
スノーシューより楽に歩けるのも魅力的で、ちょっと怖いけど滑り始めたら転ぶのも楽しくなっちゃう冬の散策アイテムです。
午前も午後も、どちらのコースも楽しく賑やかに過ごして頂けた様で、皆さんの笑顔が忘れられません。
次は、もう少し時間をかけてじっくりと観察をしながら、フカフカ、サラサラの八幡平の雪を満喫しましょう。 

     くどう