朝から夏らしい日射しと暑さの8月3日、湿原を彩る夏の代表的な花のタチギボウシ群落に逢いに「八幡平古道トレッキング」を開催しました。
麓よりも5~6℃は気温が低い八幡平ですがこの日の気温は24℃、これまでに降った雨による湿度の高さと強い日射しに、体感温度は更に高く感じられます。

八幡平登山の5合目にあるふけの湯を出発し、ホツツジなどの季節の花を見ながら出発。

最初に現れた大きな湿原は大谷地。
湿原の縁に生えたミズバショウが何者かによって激しく踏み荒らされています。

犯人はツキノワグマ。
密集して生えるミズバショウの実は食べ応えがあり、あまり移動せずに沢山食べられるのでツキノワグマにとっては好都合。
木道にのあちらこちらにフンが残されていました。
どうして木道にって?
それは、クマだって出来るだけ歩き易い場所を歩きたいもの。

一度クマの痕跡を見ると、どうしてもそればかりになりがちですが、湿原に咲き始めたサワギキョウも綺麗ですよ。

エゾアジサイの咲き誇る登山道を進むと、6月に人々を魅了したキヌガサソウが大きな実をつけていました。

長沼は水面に空の様子が映り込み、ネムロコウホネの黄色い花が沼を渡る風に揺られています。

沼の南側の湿原は花盛り。
タチギボウシやドクゼリ、トウゲブキが咲き乱れる様子に足を止めて撮影タイム。
「きれーい」「すごーい」「いいねー」の声が止みません。

真っ赤になったオオバタケシマランの実が並んでぶら下がる様子に「かわいー」の声。
テンション高めの皆さんはカメラに向かってポーズ。

ヤマナメクジは岩陰で暑さを凌いでいる様子。
羽化して間もないオニヤンマは日の当たる場所に出て翅をしっかりと乾かします。

いよいよブシ谷地に到着。
小さな湿原ですが、一面を見頃を迎えたタチギボウシの紫の花が覆います。
圧巻の光景を眺めながら休憩としましたが、参加者の方々は写真撮影に夢中。
良い写真は撮れたかな?

ブシ谷地を過ぎると、このルートの最難関の急登へ向かいます。
それをまだ知らない皆さんは、序盤の登りを頑張っています。

いよいよ姿を現した急斜面にはロープが下げられていて、一気にアドベンチャー感が増します。
なだらかな山並みのイメージが強い八幡平に、こんな急登があるとは思いもよらなかった参加者の方も・・・

しっかりとロープに摑まって、ゆっくりと一歩ずつ。
ここをクリアしたらお昼休憩だから頑張って!

無事に急登を登り切って昼食休憩をとり、歩き始めるとツキノワグマの足跡。
私たちにとっての登山道は、クマたちにとっては生活道路なので出会わない対策をして歩かないといけませんね。

大きな登りが無くなり余裕が出て来たのか、「かわいー」と花を見つける度に足を止めて撮影。
花盛りのクルマユリや少し気の早いエゾオヤマリンドウ、アオモリアザミも見られます。

林が開けるとそこは草の湯分岐。
ずっと道脇に笹の生い茂る林の中を歩いてきたので、開けた景色が新鮮に感じられます。
ほら、八幡平の山頂に立つ道標が見えるよ。

標高の高い場所の湿原にはイワイチョウやキンコウカ、エゾシオガマなど。
やっぱり「かわいー」を連発です。

でも、アズマヒキガエルに「かわいー」は一部の人だけでした。
可愛いんだけどなあ

良く、ここまで頑張ったねとホシガラス。

可憐なハクサンフウロが時折吹く風にゆらゆら。

もうすぐ八幡平山頂。
湿原の様子は、どこかしら秋を感じられるようになってきました。

頑張って辿り着いた八幡平山頂の展望デッキから、草の湯分岐方面を眺めます。
かつて八幡平山頂を目指した多くの人々は、この道をどんな思いを持って登って来たのでしょうか。
そんな思いが頭をよぎります。

今回のイベントは、普段はあまり歩く事のないコース。
「聞いてはいたが思った以上の急登が待ち受けていた」との驚きがあったり、「見事としか言いようがない」とブシ谷地のタチギボウシ群落に感動する様子が見受けられたリしました。
進むにつれて、頑張った分だけ小さな花の一つ一つへの感動も大きくなるのが参加者の皆さんから伝わってきました。
歩き切った後の充実感に溢れた参加者の皆さんの顔を撮り忘れたのが心残りです。

     くどう