暦の上では立春となる2月4日、秋田八幡平スキー場脇の森を舞台に「スキーハイクで冬山さんぽ 山毛森コース」を開催しました。
立春とはいえ、八幡平は厳冬期。
ふっかふかでサラサラのパウダースノーに覆われた森の中を散策です。
スキー場のリフトを降りると、待っていたのは日差しにキラキラと輝く目にも眩しい白銀の世界。
青空を背景に、雪化粧の木々の嬉しい歓迎を受けました。
上空は風が強いようで大きな雲たちが頭上を勢いよく流れていく中、一歩一歩雪の感触を確かめながら山毛森山頂を目指して進みます。
足取りも軽快に進む人、少し足元が不安そうな人と様々ですが、魅力的で魅惑的な美しい雪の光景に、自然と足が前へ前へと出る参加者の皆さん。
あっという間に山毛森山頂に到着して、雪持ちの木々や周辺の光景を写真に撮りまくり。
ブナ帯が終わりに近づき、周辺にはダケカンバやオオシラビソなどが混じり始める一帯は、それぞれの着雪の様子も違って見応えがあります。
眩しい雪面に伸びる木々の影も美しく感じます。
ここからは、雪の光景に合わせて冬の森の様子も観察しながら。
先ずは木々の肌を覆う地衣類。
葉状のもの、痂状のものと多くの地衣類が見られます。
お天気の良い日に、じっくりと観察してみたい物の一つです。
イベントを企画したら参加者が集まるかなぁ…
あちらこちら観察しながら歩いていると、木の根元に身を潜めていたウサギが飛び出していきました。
余りの素早さにカメラに捉える事は出来なせんでした。
残念…
そこには新雪の上に慌しく駆け抜けていった足跡だけが残されていました。
下り斜面は滑って移動する事が出来るのがスキーハイクの良いところ。
ゆっくり歩いて、時々ゆっくり滑って冬の森を満喫。
冬の森には雪オバケがいっぱい。
彼らは人が通った後に現れます。
何も危害は加えられないので、そっとしておいてあげて下さい。
ちょっとだけ森を出てスキー場のゲレンデへ。
ゲレンデから見える大沼と湿原は、真っ白な雪原へと姿を変えています。
冬の大沼湿原も良いんだよなぁ…
再び歩く森の中。
だいぶ山毛森山頂から下りて来たので辺りの木々は殆どがブナになりました。
何気なく歩いていると意外と気付かないものですが、標高によって植生が変化していく様子も見られるのも面白いところです。
折り重なるように生えたカワラタケや、ドライフラワーのようになったツルアジサイなども冬の観察対象。
ツルアジサイは森の中の光が入り込む方向に花を多く付けているようです。
山毛森の主に到着。
主の下にて、山毛森(ブナ森)の主がミズナラとは…
などと話しながら暫しの休憩。
どれだけの年月をこの場所に立って山毛森の歴史を見て来たのでしょうか。
多くの生き物たちの命を養い、この森を見守り続けてきた重鎮です。
今回のイベントは冬の森の情景と、冬を乗り切る植物たちの様子を見ながら、参加者の皆さんと和気あいあいと楽しく歩く事が出来たと思います。
スキーハイクで滑ったり転んだりもありましたが、ちょっとコツを掴めばスノーシューより浮力が大きく、板を滑らせる様に歩けば一歩の幅も大きくなり、冬の散策にはとても有効なアイテムだと思います。
冬の山をスノーシューより楽に、楽しく散策してみませんか。
くどう