曇り空が広がり冷たい風が強く吹く4月22日、今年度最初のイベント「早春スノーシュー ヒミツの巨木と沼めぐり」を開催しました。
雪解けの早い今シーズン、どんな光景が待ち受けているのか楽しみです。

時折日が差す中、大きなクマ棚の掛かったミズナラへ。
秋に、主なエサとなるブナの実が少なかったのでミズナラのドングリを食べるために木に登って枝を折った痕です。

下見の時よりも雪が少なくなっていたので、雪のある場所、歩きやすい場所を選びながらブナ林の中へと入っていきます。

日が差したり陰ったりする中、見えてきたのは大きな樹洞のあるトチ。
木々の樹洞はツキノワグマの冬越しに使われる大切な場所。

などと言っていると、雪の上にツキノワグマの足跡を見つけました。
会えないかなぁ…会いたいなぁ…
とはいえツキノワグマは人には会いたくないはず、簡単に姿を見せてはくれません。

よんご沼は氷も全て溶け、青い水を満々と湛えていました。
冷たい風が静かな水面をさざ波を立てながら吹き抜けていきます。

四合五尺沼は黒っぽい青。
周辺には役目を終えたヤマハンノキの雄花が沢山落ちていました。

落ちていたのは鳥の巣も。
おそらく、去年の物が冬の間に雪で落ちてしまったのでしょう。
巣材はカラマツの枝に細く裂いたヤマブドウの皮と枯草が使われているようです。
誰が作ったんだろう?

名無しの沼も水が染み出して縁取りが出来ています。
緩んだ雪の上に、またしてもツキノワグマの足跡。
ちょっと内股なのね。
会えないなぁ…

クマのフン⁉
と思いきや、見つけたのはニホンカモシカのフンでした。
水分が少なかったのか少し固め。
ニホンカモシカも会いたいな。

周囲はクマ棚だらけなのにクマが居ない…
まあ、クマ棚は去年の秋のものだし。

長沼到着。
長沼も大きく縁取りができていました。

強く冷たい風が吹き渡る長沼の畔を歩くと、岸の氷が解けている場所も。
沼に張った氷の上に水が染み出して溜まり、その水の表面が寒さで凍っていました。
どおりで寒いはず…
風に吹かれると体感温度は0℃を余裕で下回っています。
なんだか冬よりも寒く感じてしまいます。

長沼の湿原を流れる小川も所々氷が張っていましたが、ミズバショウが顔を出し始めている場所もありました。
ミズバショウを見ると漸く春がきたという思いと共に、この先に待ち受ける花の季節が待ち遠しくなります。

一見してスマートに見えるダケカンバですが、幹にはコブが幾つも出来ていました。

シナの巨木は根開けも進み、その全容を露わに。
う~ん、何度見ても大きい…
この木は、どれだけの年月をこの場所で過ごしてきたのでしょう。

オオシラビソの雄花の花芽を食べたモモンガの食痕もあちらこちらに。

このサワグルミは、何故こんな根になったのでしょう。
その過程を想像してみるのも面白いですね。

ツボ沼が見えてきました。

って、何で寝転がっているの⁉

答えはこれ。
雪があるうちは尻滑りをしないと気が済まない方々。
楽しそう。

何見てんの?

沼岸に立つ木の根元に氷が。
水面より高い場所に張った氷の不思議な光景に、「何でだろう?」が止まりません。

どうしてこうなった?
真っ直ぐに伸びたブナに、絡みつくようにねじれ曲がったコシアブラ。

大きな落枝も観察対象。
沢山のヨコワサルオガセにシナの実。
ゆっくり歩くと色々な物が見えてきます。

大きなコブが印象的なブナ、通称「お尻の木」。
夏の登山道に立つ木なので、気になる方はご覧にいらして下さい。

その後も地衣類をしたり…

変な形の木を探したり…

雪の上に落ちている物を観察したりしながら、残雪のブナ林を帰るのでした。

最後に少しほころんできたイワナシの蕾を見つけ、止まることなく進む季節を再認識する事が出来ました。

今回のイベントは気温の低い中での開催でしたが、巨木や森の中に佇むそれぞれの沼の様子の違い、奇妙な形の木々、残雪の上の発見を楽しみながらの行程となりました。
やはり、異常ともいえる雪解けの早さが気になりましたが、雪のある場所を選びながら歩く事によって、今まで歩いた事のない場所を歩いてみたり、例年であれば雪に隠れていて見られない部分を見られたりと、新鮮さが勝る一日でした。
夏場は深い藪で歩けない山の中、参加者の皆さんには、残雪期ならではの光景を楽しんで頂けたかと思います。

     くどう