暖かい日が続きます。気分はもう春、厳しい寒さと雪はもう忘却のかなた。雪を踏んで進む森の中にはどんな気づきがあるのでしょう。
ベコ谷地のいつもの入り口から入ると、湿原には雪が積もっていません。澄川側は歩けそうになく、アスピーテライン側を進みました。もともと湿原ではあったのですが、今年は少し違うようです。
気温は少し高め、こんもり積もった雪はやや湿雪、スノーシューが重く感じられます。それにしても見える範囲にスキーやスノーシューのトレースがずいぶんついています。ずっと天気が続いているので”雪山散歩”を楽しんでいる人たちがいるようです。私たちも進行方向が一緒なので、このトレース使ってしまいます。
スキーの方4人ほどの一糸乱れぬトレースが一直線。ベコ谷地方向に続いています。栂森に向かう人たちのようです。
どうやら、誰も歩いていない・・・ではありません。何か気が付くことはないか、気にかけています。パッと見て、ブナに架かるクマ棚が多いようです。ブナの枝先にはブナの殻斗が一ぱい付いている木が目立ちますが、未登熟の実が多かったのでしょうか。秋田県の去年のブナの作柄は豊作に準ずる”並作”だったのですが・・・
ベコ谷地に到着。スキーの方のトレースが真っすぐ栂森の方向にのびていました。
ここは昔、放牧地であった頃の牛の水飲み場だと聞いていますが、不思議なサークルがあります。かなり大がかりな手の込んだつくりをしています。はて?どんな意味があるのでしょう。
何気ない木たちの中にある”ネジネジの木”。枯死直前のようですが、これがヒトであったら、やっぱり想像の通りの性格に違いありません。でも、木的には強風に耐えるためにわざとねじってあるのよ!と答えるかもしれません。どうですか、この立派なねじれ具合!
おっ!クマか?と思いましたが、ヒズメが見えるのでどうやらカモシカです。小さめの奴と二種類のように見えるので親子かもしれません。初グマを見たいとは思っていますが、そんな機会はあるのでしょうか。でも、雪に残る動物たちの痕跡は、この森で暮らす生き物として、その暮らしぶりさえもリアルに想像してしまいます。
ずいぶん古そうですが、クマの下り爪。随分重いやつの痕跡がくっきりと。
そんな生き物たちの痕跡を見ながら、大沼展望地へ進みます。斜面の向こうには大沼と秋田八幡平スキー場、そしてその奥には素晴らしい樹氷原を見せてくれた八幡平さんの山並みが見えます。
大沼が眼下に見えています。水の流れるところだけが青く見えていますが、大沼はまだまだ深い雪の中です。
立派な冠雪とクマ棚。樹上の雪はほとんど落ちてしまいましたが、この冠雪はバランスがいいようで、しばらく落ちそうにありません。いたずらをしてやろうかと思ったのですが、ストックが届きません。
澄川林道に降りるブナ林にはまだ”根開き”はまだのようですね。
ダイナミックな風景、澄川に架かるヒューム管橋。本当の橋の幅はたぶんこの半分ぐらいのはず。
この森の生き物たちの痕跡。右はテン、左はウサギのようです。澄川にせり出した雪庇の上にも足跡が付いています。雪庇部分では安全確認、又は躊躇した足跡のようにも見えることから、無鉄砲ではなく、慎重さも兼ね備えた性格のようにも思えます。「これを生きる”術”というのさ!長生きしたかったらな」とテン。ヒト的には命をかけた・・・ともいうかも知れませんが、「これが日常よ!」とウサ。
暦の上ではともかく、冬と春との境目のようなこの季節に森の中では、いったいどんな気づきがあるのでしょう。イベント参加の皆さんにそれぞれの気づきを述べてもらったら、遅々として進まない!ということにはないらないでしょうが、同じようでも去年とも違うこの森の中ではどんな”気づき、発見”があるのでしょう。
あべ