2月12日(日)秋田八幡平は細かな雪が降り続けるお天気となりましたが、冬の森を観察しながら滑って転んで満喫しようと、環境省補助金事業「スキーハイクで冬山さんぽ・〈上級〉ベコ谷地コース」を開催しました。
ゆっくりと斜面を登ってブナ林へと入っていきますが、いきなり後方で賑やかな声が。
まだまだ始まったばかりですよー。
でも、せっかくだから賑やかに楽しくいきましょう。
大きな豚バラブロックではなくて冠雪。
近寄ると枯れた木には凍ったムキタケが残っていました。
冬の森をあちこち観察。
このブナは幹は枯れ落ちてしまい、枝が一本だけ生きている状態。
夏は藪で歩けない場所を歩いているので、こんな場所があったんだ、こんな木があったんだの繰り返しです。
ヨコワサルオガセにクロイボゴケ、クサビラゴケ。
積雪で夏場より視線が高くなっているので地衣類の観察もしやすくなっています。
ヨコワサルオガセの立派な髭が良く似合っています。
キツツキの仲間のコゲラが開けたと思われる穴を立ち枯れの木に見付けました。
今は使われていないようですが、誰かが休憩に立ち寄ったのか、枯れ木に隠れた昆虫を探しに来たのか、小さな羽根が残されていました。
ベコ谷地が近づいてくると、湿原の縁の様な栄養分の少ない場所でも生きられるオオシラビソの姿が増えてきます。
そして、私たちが通った後に生まれる雪オバケたち。
どれも個性的で可愛らしいものばかり。
人は上を見上げると口をポカンと開いてしまうのは何故でしょう。
ブナとオオシラビソが混じる林の中は厳しい冬を越す小鳥たちにとっては好都合な場所。
風の日や吹雪の日にオオシラビソに身を隠す事が出来、エサも探しやすくなります。
雪面にはウサギの足跡も。
残念ながら写真には取ることが出来ませんでしたが、オオシラビソの中から飛び立つ猛禽の姿も一瞬ですが見られました。
ブナとオオシラビソの混交林は生き物たちにとって大事な場所です。
雪のベコ谷地に到着。
広い雪原へと変化を遂げた景色を眺めながら休憩したり写真を撮ったり。
そして横に並んで一斉にベコ谷地を横断。
真っ直ぐに向かい側の森を目指します。
横断した先で何やら皆で見ていたのはコシアブラの木に残されたウサギの食痕。
冬芽を食べ尽くして樹皮まで食べています。
冬芽はスパッと鋭い刃物で切った様に、樹皮はこそげ取る様に食べています。
ブナに残されたツキノワグマの爪痕とクマ棚。
もう、冬の観察対象の定番になりました。
オオシラビソの球果の芯と枯れた雄花。
雌花は球果となって種が熟すと鱗片が崩れて種を散布します。
雄花は花粉を飛ばすと枯れて落ちてしまうのですが、意外と長く枝に残っていることがあるので、良ーく探すと見付ける事が出来るかも。
大沼を眺めながらお昼にしたかったのですが、雪に霞んで大沼を見る事は出来ませんでした。
いや、心の綺麗な人には見えたはず…
お昼を食べたら、雪化粧したブナの間を滑って帰り道。
先ずは、ゆるーい斜面をゆっくりと。
早くも転倒している人が…
まだまだ、本番はこれからですよ。
雪が弱まって、木々の間にビジターセンターが見えました。
いよいよ急斜面へ突入。
慎重過ぎるくらいに慎重に滑り出す皆さん。
上手に滑れても転んでも、楽しい事には変わりなし。
雪の感触をたっぷりと楽しんで、ブナ林の中が賑やかになります。
それぞれが、思い思いのコースを思い思いに。
おーい、どこまで行くのー!
どんどん滑りが上達する皆さん。
見事にテレマークを決めながら⁉
カッコイイではないですかー。
最後は静かなブナ林に賑やかな声を残して帰ってきました。
今回のイベントは生憎の雪の中でしたが、ブナ林の中では沢山のものを観察出来ました。
夏場は入り込めない場所を歩く贅沢と、普段はなかなか気にして見る事の無いものも観察出来ましたし、何よりもスキーハイクの醍醐味も存分に味わってもらえたのではないでしょうか。
冬の森は、やっぱり楽しいですね。
くどう