里は夜間の雪が止み、凍晴れの朝を迎えた1月21日、環境省補助金事業「スキーハイクで冬山さんぽ・〈上級〉ふけの湯・大谷地コース」を開催しました。

山は里とは違い、雪がしんしんと降り続ける天候。
ふかふかの新雪の感触を味わう為に、先ずは八幡平第一ロマンスリフトに登場。
今日は、どんな一日になるのか楽しみです。

夜間は風もあったようで、場所に寄りますが木々の枝が雪を着飾ります。
一晩でたっぷりと積もった雪の感触を確かめながら、眼下に見える大谷地目指してスタートです。

いきなり雪と戯れ始める方。
フカフカの新雪に、居ても立っても居られなかった様子です。
まだまだ、スタートしたばかりで余裕綽々の表情。

ふけの湯に下りる斜面は大騒ぎ!
雪の降りしきる静かな山に、あちらこちらから賑やかな声が響き渡ります。
もう、何が何やら…
まだまだスタートしたばかりですが、早くも盛り上がりをみせる皆さんの歓喜の?声が止みません。

大騒ぎが一段落したら、ふけの湯の噴気地帯を通り抜けます。

大谷地手前のオオシラビソの森の中。
背の高いオオシラビソが枝を大きく広げているおかげで、あまり雪を感じる事がありません。
雪面にはウサギの駆け回った痕が残されています。

大谷地に到着。
頭上から聞こえる鳥の声を探ると、そこにはヒガラの姿が。
この周辺はブナを主体とした森ですが、オオシラビソが多く混在しているので、小鳥たちは天敵から身を隠したり荒天時に風雪を逃れたりしやすい、越冬に適した場所といえます。

雪へダイブ!
突然の行動に少々驚きましたが、八幡平の雪の感触を全身で感じ取るには一番の方法かも。
そんな行動も優しく静かに受け止めてくれる冬の大谷地でした。

真っ白な大雪原と化した大谷地の真ん中を歩く。
誰の足跡も無い場所に、一歩一歩雪の感触を確かめながら自分のトレースを残していきます。
そして、そのトレースを消してしまおうと音もなく降り続ける雪。

再び森へ入ると、長く大きなツキノワグマの爪痕。
登ったは良いけど下りるのが苦手だったかな。
この木の周辺で、先程のヒガラたちのようにオオシラビソの下で雪を避けてお昼にしました。

今度はアスピーテラインの大沼地熱入り口を目指して森の中を。
と、思ったら…
まだまだ雪と戯れ足りない様子。
大丈夫、まだまだ先は長いから、いくらでも遊べますよ。

木々の枝をくぐったり、ふけの湯を通って流れて来る赤川を見下ろしてみたり、秋田八幡平スキー場のある山毛森を眺めたり。

凍てつく寒さに耐える、フリースを着込んだタムシバの冬芽。
でも、やっぱり寒そう…

いつの間にか雪が止んだ空を見上げると、そこにはクマ棚が。
「ほら、ここに歯形が」と落ちていた枝を拾って観察中です。

カチカチに冷凍保存されているムキタケと、今にも落ちてきそうな大きな冠雪。
ずっと雪が降り続けていたので、少しの青空が嬉しくなります。
これらも冬ならではの光景です。

日が差し、木々の影が伸びる雪面に真新しいリスの足跡。

そして、そのすぐ横に我々の足跡。

雪が止んで、またまたやる気に火が付いた皆さん。
滑って転んで叫んでとブナの森は大盛り上がり。
疲れを見せないアグレッシブさに感服です。

雪がフカフカなので転んでも痛くもかゆくもないのですが、フカフカなだけに起き上がるのが大変。
でも、それが楽しくてたまらないのです。

赤川の畔を歩いたのはニホンカモシカ。
深い雪に苦戦しながら歩いたようです。

登ったり下ったりを繰り返しながら徐々に標高を下げてきました。
何でも終わりころになると良くなるもの。
皆さん、スキーハイクの扱いにも慣れてスイスイと木々の間を縫うように進んでいきます。
今の、この状態で再度スタート地点に立ったら、一度も転ぶ事無く戻って来れるのではないでしょうか。
この感覚を忘れないで、またイベントに参加して頂きたいですね。

再び雪が舞い始めた頃、丁度腰かけられるように曲がった木に跨ってしがみつく方。
「帰りたくないよ~」と駄々をこねている訳ではありませんが、多くの木がある森の中には様々に変形しながらも成長を続けるものもあり、自然の面白さや力強さを楽しみながら感じ取ることが出来ます。

間もなくゴールという場所で現れた若いミズナラ。
若いなりに精一杯実を着けたのでしょうが、あまりにも凄い事になっています。
その枝のほとんどがツキノワグマに折られて、大きなクマ棚が出来ていました。
クマ棚は先程も見てきましたが、足を止められずにはいられませんでした。
枝に残された歯形も生々しく感じられますが、ツキノワグマも生き抜く為に必死だったのでしょう。
無事に冬を越して欲しいと思わずにいられません。

いよいよゴール。
と、思ったら、最後の最後で雪に埋もれるという…
よほど、この雪の感触を気に入って頂けたのでしょう。

下見の時には、表面がガリガリで中はザクザクの湿った重い雪というコンディションでしたが、今回はたっぷり過ぎる程の新雪の中を歩く事が出来ました。
距離の長いコースでしたが、斜面を滑ってみたり、森の中を観察しながらゆっくりと歩いてみたり、そして転んで雪と戯れてみたりと、参加者の皆さんにはスキーハイクの魅力を十分に味わって頂けたのではないでしょうか。
雪の降る中での行程となりましたが、一歩足を踏み出してしまえば、そんなことも気にせずに楽しんでいる参加者の方々の姿、笑顔が忘れられない一日となりました。