6月11日青空を大きな雲がゆっくりと流れ、ブナの森からはエゾハルゼミの騒がしい程の声が聞こえる中、「新緑の長沼 キヌガサソウに逢おう」を開催しました。
ビジターセンター周辺は深緑という言葉が相応しい程緑が色濃くなりましたが、長沼周辺は新緑がピーク、季節を遡ってブナの森の変化を感じ取りながらの山行になります。
美しく堂々とした姿にファンの多いキヌガサソウの群生を目指して出発です。
ビジターセンター裏の泥火山は今日も元気。
ボッコン、ボッコンと噴き出す泥火山がお見送りです。
足元にズダヤクシュなどが咲く森の中をゆっくりと。
ブナの幹にエゾハルゼミの抜け殻が残されています。
羽化後、すっかり羽根も伸び、体色も濃くなってきた成体も見付けましたが、まだ少し体が柔らかくて飛び立つまでには少し時間がかかりそうです。
「いっぷくの森」は日に透かされたブナの葉が色鮮やかで、日射しを遮る林内に居るにもかかわらず、緑が目に眩しい程です。
この時期恒例、足元に交接中のヤマナメクジを見付けました。
雌雄同体の彼ら?は、只今、お互いの精子を交換中です。
広い森の中で、ゆっくりゆっくりとした動きの二匹が出会うのは中々大変な事。
体色が枯れた落ち葉にそっくりな彼らを踏まないように歩いてあげて下さい。
あまり目立つ花ではありませんが、ツクバネソウも咲いています。
お尻の木。
参加者から「良いお尻」と褒められて、この木はどんな気持ちだったでしょうか。
気になるところです。
標高が上がったせいか、日が陰ったせいか、いつの間にか賑やかだったエゾハルゼミの声が聞こえなくなりました。
サワハコベにツバメオモト。
山の花たちは、どうしてこんなにも可憐なのでしょう。
ついつい写真に収めたくなるその気持ち、良~くわかります。
白く輝く姿が怪しげにも見えるギンリョウソウが咲くのは、もう少し先のようです。
大谷地に出ると、空には雲が広がっていました。
周辺の森の緑が大沼周辺と違って少し和らいで見えます。
広い湿原にワタスゲの果穂が風に揺られ始め、コバイケイソウは花芽が見え始めています。
森に日の当たってる方向から、エゾハルゼミの声が聞こえてきます。
雪解けの遅かった場所のミズバショウは、これからが最盛期。
大谷地を過ぎた所にある小さな沼沿いに、キヌガサソウとサンカヨウが花盛り。
キクザキイチゲも綺麗で、春に逆戻りした感覚です。
あっちでもこっちでも、美しい姿を撮影しようと大忙しです。
長沼に着いたら、もっと撮らせてあげるから行くよー!
ひっそりと、地表近くに花を咲かせるオクエゾサイシン。
ここを登れば、間もなく長沼。
頑張れー!
長沼到着。
急激に暗くなる空…
と思っていたら、雨が激しく降り出してしまい、皆で東屋に避難して昼食。
まあ、山のお天気ですから…と、言うより他ならない状況です。
雨が通り過ぎると、鮮やかな新緑が広がりました。
水面を風が静かに渡っていきます。
辺りにはタムシバやオオカメノキ、ミツバオウレンなども。
いよいよキヌガサソウの群生地へ。
雨に打たれて雫を蓄えた様子も素敵です。
綺麗な花たちを満喫したつもりですが、やはり帰るとなると名残惜しくなるもので…
キリが無いので心を鬼にして帰路につきます。
帰り際、一瞬ですが風が止んで見事な水鏡に。
周囲の木々も空もクッキリと映り込む様子に魅了されてしまいました。
帰りに見つけた小さくて可愛いミズバショウ。
どれだけ小さいかというと…
ライターと同じくらい。
こんなに小さくても花を咲かせようとするなんて、健気というか何というか…
ユキザサも咲き始めていましたよ。
そして、去年は大凶作と言われたブナも実生を見付けました。
殻斗の中に残っていた実が、二つ一緒に発根、発芽したのでしょう。
仲良く発芽したのは良いけれど、何だか少し窮屈そう…
上手く殻斗を脱ぎ捨てて成長してくれると良いですね。
今回のイベントは、途中で雨に降られたりしましたが、初夏の雰囲気の漂う大沼から新緑の長沼へと森の中の様子の変化を感じ取りながら歩くことが出来たのではないかと思います。
今シーズンはキヌガサソウの開花が早かったり、かと思えば他の花は平年並みに開花していたり、雪解けの遅かった場所は未だに早春の風が吹き、生き物たちの動きにも変化があったりと同じように見える森の中でもあちらこちらに様々な変化が見られるのが、この時期の山歩きの面白さなのではないでしょうか。
楽しい山歩きのシーズンになりましたね。
くどう