漸く春らしさを迎えた残雪の八幡平、雪解けが始まった湖沼を巡るイベントを前に下見を行ってきました。

八幡平山頂への登山口は雪も消え、枯草の中に小さなヒメイチゲが顔を出し始めています。

涼やかな風に吹かれながら、響き渡るウグイスやウソの声に出迎えられ石畳を進みます。

雪解けの早い場所では、足元にエンレイノウゴイチゴ、ショウジョウバカマがちらほらと。

ナナカマドやオオカメノキの開花は、もう少し先のようです。
どちらもブロッコリーみたいな花芽が可愛らしいです。

見返り峠からの眺望。
雲が多いですが、畚岳から続く蒼い山並みが綺麗。
岩手山は、残念ながら雲の中…

日当たりの良い場所ではコヨウラクツツジが咲き始め。
イワナシやクロウスゴの花も見られるようになりました。

オオシラビソの間に八幡沼が見えてきました。

雪解けの八幡沼の畔へ。
広く視界が開け、空を覆う雲の迫力も広大な風景を演出してくれます。

沼に沿うように歩いたツキノワグマの足跡。
ツキノワグマも藪漕ぎは嫌いなようで、歩きやすい残雪の上を歩きます。
いるかなぁ、いないかなぁ、会えるかなぁ、会いたいなぁ…

雪解けの進んだ八幡沼は、あちらこちらで氷に大きなクラックが入っていました。

そんな沼の水面にカルガモの姿。
「どうせ、近づいてはこれないだろう」と言わんがばかリに、悠々と泳いでいました。

立ち並ぶオオシラビソを潜り抜けて現れたのは、今回、初めて行く名無しの沼。
地図などで存在は確認していましたが、意外と広い場所で驚きです。
表面にじんわりと水が染み出し、沼の形が何となく見えています。

もう一つの名無しの沼。
こちらは雪解けが進み、水は冷たく澄んでいて、少し緑掛かって見える氷が綺麗です。
残雪期でなければ見に行けない沼の様子はレア物です。

八幡湿原に出ると、雪の消えた場所にワタスゲの花が咲き始めていました。
池塘の水面に映りこむ様子も良さげです。

そんな湿原を歩くハクセキレイ。
こちらを見ながら尾羽を上下にふりふり。

再び八幡沼に出ると、大きなクラックを境に氷が浮き始めています。
今度はオシドリが「来れるものなら来てみろ」と言っているかのようにくつろいでいました。

昼食は陵雲荘で。
ここからの八幡沼の眺めも良いですね。

展望デッキからの八幡沼。
ん?
気が付けば八幡沼ばかりではないですか!

と、いう事でガマ沼。
すっかり氷の解けたガマ沼は、周囲のオオシラビソが映り込んでいました。

春の八幡平といえばアカケダニ!
違うか?
違うな…
石畳の上をちょこちょこと歩く様子が可愛らしい奴です。

山頂到着。

ドラゴンの涙。
だいぶ水面が広がってきましたが、この水の色は何とも言えない美しさです。

そして、漸くドラゴンアイ。
果たして開眼はいつになるのか楽しみです。
イベント当日に見られるかなぁ…
こればかりは自然まかせですが、その瞬間にしか見られない景色を楽しみましょう。

今回の下見は、時折雨がぱらつくお天気の中でしたが、それぞれの沼の雪解けの様子の違いを見られましたし、初めて行く沼もありました。
八幡平は大きなものから小さなものまで、幾つもの沼があります。
いつか、全部見られたら…などと思っていますが、なかなか難しいようです。
鏡沼のドラゴンアイを始め、それぞれの雪解けの様子を見て、八幡平の遅い春の訪れを体感してみましょう。 

     くどう