鹿角市内の観光関連の職業についておられる皆さんをお招きし、午前の巨木コース(山毛森の主)、午後からは秘沼コース(山頂から隠居沼)をスノーハイク(短いスキー)で、パウダースノーのフィールドで初めての体験をしていただきました。

まずは初めての用具の適合調整。「きつくないですか!」

足慣らしとばかりにゲレンデを登っています。”このスキー不思議!バックしないんですね”。”なかなか快適じゃないですか”とか何とか感想が聞こえてきます。

あら~不思議、ゲレンデを登れるんですね~

さ~てと、ここまではほんの足慣らし。”スノーハイク”の本領発揮はここからです。

スノーシューよりは浮力があるので連日の新雪ですが沈み込みは膝の下程度。ラッセルも雪が軽いのできつくはありません。二番手・三番手の方は多少ラッセル感を味わえているかもしれません。トレースから外れてもいいですよ~と声を掛けますが、皆さんお行儀が良くて、このフィールドを一列のまま進んでいます。

これは、ご本人の名誉のため説明すると、転んだ時の起き上がる練習をしているところです。パウダースノーの雪面は腕で突っ張っても、腕そのものが沈み込んでしまうのでコツがあるのです。起き上がる動作は結構疲れるので転ばないのが一番なのだそうですけど。そう言われても・・・

ふっかふかの新雪の沈みは膝の上だったり、下だったり。快調、快適。何よりも昨日までの吹雪はどこに行ったのでしょう。快晴です。

何となく、このアプローチは”滑る”もありかな?とは思っていました。一応スキーの経験はあるのですが、こいつはちょっと、ちょっと~! どこに行くかはスキーに聞いて・・・

美しくいきたかったけど転んでしまいました。助けが必要な時は”help”と声を掛ければスタッフが写真を撮ってから助けてくれると言ってましたが、私だって雪国出身者、これぐらい軽いもんです の筈でした。

~彼女からはこのあとヘルプのコールがあり、救援に行きました。

いい感じに滑って い ま し た。

実は転倒の直前、少々斜度のある斜面で彼の身体は少し前傾しています。目線は下、雪面を見ています。   そして・・・

彼は豪快に新雪に飛び込むように転倒してしまいました。何事も前向きはいいことだと思います。雪まみれですが、この転び方には彼の生きざまが凝縮されているに違いありません。

”転んでも笑顔”

スタッフはわざとこんな斜面のコースを選んでいるのでしょうかと疑ってしまいます。

こんなはずではなかったと思うことしきり。それでもご本人は笑顔(笑うしかなかった?)それを見る皆さんも笑顔(次は自分の番だけど)。

鍛えられて、いつの間にかコツがわかって。今は緩い斜面だったら滑りを楽しむゆとりもあります。

山毛森(ブナ森)の主に到着。本日現在雪面から地面までの積雪は220㎝ほどです。

と、ここで私たちのものではないトレースを発見しました。

真新しい小さな足跡と少し大きめな足跡が交差して、少し大きめの足跡は斜面を戻るように登っています。

どうやら静かな森の中でたった今、命をかけた出来事があったようです。

走るリスをテンが雪面をショートカットして捕まえ、食べようとしたところで私たちの接近に気づき、そのまま逃げた。という痕跡のようです。

森の中では日常的にあることだとは分かっていますが、何日かぶりで”食料”にありついたテンと、この場で絶命したリスの生きた痕跡は生々しく、生きることの厳しさをまざまざと感じさせられてしまいました。

さてと、こんどは午後の部。少々難易度の高いリフトを使っての行程です。

午前中の晴天に少々陰りが出てきていますが、まだ青空があります。

リフトで上がった分だけ標高差があり、新雪、深雪の緩い斜面を楽しく滑れるというコースです。

ふっかふかの新雪は膝上ぐらい、山毛森のてっぺんから真たいらな八幡平を眺めています。

ここは平らな八幡平の山の形がよくわかる場所でもあります。樹氷は順調に成長中!だと思います。

もっさもさに付いた霧氷原。

枝の雪をつついてみたい衝動にかられ、つんつん。サラサラの雪が自分に落ちたり、後ろの方に落ちたりで大騒ぎ。

幻想的という表現は月並みですかね。誰も歩いていない雪原を歩くのは初めての体験。枝に着いた雪の造形、何を見ても新鮮。

トレースから外れてもいいですよ~と声は掛かっていますが、午後から参加の皆さんもお行儀よく、列を乱さず一列のまんま。

私がお手本とばかりに滑っています。表情は見えません、笑顔なのかおっかなくてひきつった顔をしているのか。彼女の滑りを見守る皆さんは何かを期待しているようですが、まだ大丈夫、のようです。

この方も笑いを提供してはいけないと思ってかボーゲン姿勢は力の抜けた安定した滑りです。

根っからの性分で、ちんたら滑るのは好きじゃない。とばかりに片手にカメラをもったまま豪快に滑り出したのは良かったのですが、このあと豪快に前のめりの大転倒!静かな森に大きな笑い声が響いたのは言うまでもありません。大丈夫?ダイジョブデ-ス! カメラは?OK!、OK!

緩い斜面が連続するこのコースはスノーシューで下るよりもスキーの方が楽しいと思います。ゲレンデのように踏み固められていないことを除けば・・・

刺激的な体験をした皆さんは予定の時間より少し遅れてしまいましたが、何とか秘沼「隠居沼」に到着。

どうやら穏やかな天気は続いてくれました。

何度も転倒して体力を消耗してヘロヘロになった方、こんなはずじゃなかった、リベンジしたいと息荒く訴える方、思いは様々でしょうが無事スキー場に戻った笑顔がすべてを物語っていると思います。

このあとスキー場でそれぞれの感想を熱く語っていただきました。

本日、午前参加の皆さんと午後から参加の皆さんには好評をいただき、モニターツアーを無事終了いたしました。

体験してみて初めて分かる楽しみが、もっと多くの皆さんに伝わりますように。

冬の森、ふっかふかの新雪のフィールドは今回も刺激的、ありがとうございました。

   あべ