3月20日(土)、下見の時とは打って変わって朝から青空が広がり、春山の雰囲気の強く漂う中で、「早春の栂森スノーシューハイキング」を開催しました。
青空をバックに、白く輝く栂森がこちらを見下ろしながら私たちの登頂を待ちわびています。
いつものように開会式と準備運動を済ませてスタート。
堅雪の上に薄っすらと降った新雪が目に眩しい中を歩きます。
雪の上に残されたテンの足跡に沿うように進みます。
先ずはベコ谷地を目指してブナの森の中を進みます。
いきなりの登りですが、皆さんの足取りは軽快です。
スタート時は堅雪と思っていましたが、この日の雪のコンディションはバラエティーに富んでいました。
ガシガシ、ザクザク、モサモサ、グシャグシャ、サクサク、軽くなったり、重く足に纏わり付いたり…
そんな雪面にブナたちの影がハッキリと映る中、斜面を登り続けます。
熱いキスを見せつけてくれるチューの木♡
あまりの熱愛ぶりに雪も解けていきます。
ベコ谷地到着。
遮る物の無い日射しと、雪原の照り返しで目を細めてしまいます。
栂森が少し近づきました。
広い雪原をフリーウォーク。
ううっ…
これからの長い登りを考えると急にお腹が痛くなったくどーさん。
皆さんが駆け寄ってきてくれました。
嘘です。
ごめんなさい。
雪面に、くねくねと虫でも歩いたような跡が沢山あったので、観察してみました。
現地では良く判りませんでしたが、正体はこれ。
地衣類や樹皮、コケ等の様々な小さな欠片でした。
雪に落ちた欠片が太陽光で温められて周りの雪を解かしていき、ちょっとだけ雪と欠片との間に隙間ができます。
そこに風が吹くと、風で煽られた欠片が移動して雪と接して、また雪を解かします。
この繰り返しで、まるで虫が雪を食べながら進んだような模様がくねくねと雪上に沢山残されていたのです。
このツルアジサイと同じです。
ベコ谷地の雪原を抜けて再び森の中へ。
あまりにもお天気が良く、雪が融けて蒸発し、空気中にはたっぷりの水分が含まれています。
見上げると、眩しく輝く太陽の周りにハロ(日暈)が出現していました。
バラエティーに富んだ雪質に動物たちも苦戦?
ウサギも指をしっかりと開いて対応しています。
周りをオオシラビソに囲まれた、大きなダケカンバに着生したキタゴヨウ。
更には太く成長したツルアジサイ。
その上には、おそらく猛禽の物と思われる営巣痕が残されていました。
ここなら、ダケカンバやツルアジサイが葉を広げると上からも下からも見えなくなり、日差しも風雨も遮ってくれるので子育てには良い環境だと思います。
だいぶ標高が上がってきました。
オオシラビソの間に、我らがもっこちゃんこと畚岳が美しい姿を見せてくれました。
可愛いぞ、もっこちゃん♡
やっぱり書いちゃうのね。
お天気が良ければ動物たちの活動も活発です。
リスも可愛らしい足跡を残してくれています。
いよいよ栂森の尾根への急坂に取り掛かります。
もう直ぐ絶景が待っていますよ。
振り向けば、南八甲田連峰。
少し霞みが掛かっているので、雲の上に浮いているようにも見えます。
ここは、このコースで二番目に辛いとくどーさんが思う場所。
辛くなると下ばかり見てしまいますが、景色を見ながら頑張りましょう。
さあ、左をみてごらん。
ああ…
きれいだ…
えっ?
一番目に辛い場所?
それは…
昼食後、直ぐに登る国見台…
ピークが近づくと、どんどん景色が良くなります。
右手後方に岩木山と白神山地が望めます。
あと少し。
前方を遮る物が無くなりました。
秋田駒ヶ岳、秋田焼山とその奥に森吉山も。
風紋が、この場所に吹く風の強さを物語っています。
ドーンっ!
栂森山頂を征した二人。
カッコいいー!
この日は、遠く秋田、山形の県境にある鳥海山も望めました。
やはり、栂森からの展望は360°どこをとっても素晴らしいですね。
毛せん峠を通って、昼食場所の国見台との鞍部へと向かいます。
風が強く、あまり積雪の無い毛せん峠。
背丈の低い笹やハイマツが顔を少し顔を出すだけの荒涼とした景色が広がります。
残雪期に、小さな小さな花を着けるガンコウランも氷の間から顔を覗かせていました。
国見台との鞍部手前、毛せん峠から少し下った場所でソーシャルディスタンスで昼食です。
青空の下、山並みを眺めながらの昼食は最高ですね。
もっと、のんびりとしていたくなりましたが、国見台へと向かいましょう。
鞍部へと下ります。
下りとなると、直ぐに尻すべりをしてしまう人たち。
楽しそうで何よりです。
国見台登頂!
後生掛自然研究路や八幡平方面の景色を堪能中。
えっ?
登りの写真が無いって?
言ったじゃないですか。
一番目に辛い場所だって。
すみません💦
登るのに一生懸命で写真を撮ってませんでした…
ご飯の後のいきなりの登りはお腹が痛くなるので辛いのです…
さあ、かえっ⁉
また滑ってる…
いくらお天気が良いと言っても、まだ雪のたっぷり残る山。
日の当たらない場所には氷柱が垂れ下がっています。
春山とは言え、まだまだ季節は行ったり来たりを繰り返しています。
珍しい物を発見。
オオシラビソにヤマブシタケが生えています。
もちろん、カラカラに乾いてはいますが…
とりあえず、指でツンツン。
堅いね。
滑る。
すべるッ。
滑るっ!
すべるーっ‼
皆さん、本年度最後の尻すべりに気合が入ります。
尻すべりを楽しんだら午後の日差しを受けながら、ブナたちの影の伸びる森を歩きます。
満足されたかな?
あまりにも食べ過ぎじゃない⁉
ちょっと、ブナのことが可哀想になりますが、ウサギも生きていかないといけないからね。
ブナたちの幹にクマの爪痕が残されています。
見上げればクマ棚が掛けられていました。
昨年はブナの実りが少なかった為、わずかな実を食べようと盛んに木に登っていたようです。
普段は見られない景色、後生掛自然研究路の大湯沼の裏側に出ました。
大湯沼の端の噴湯の湯気が確認出来ます。
この周辺は、夏場は立ち入ることが出来ませんが、湿原が広がっています。
雪解けの進んでいる場所では、気の早いミズバショウが芽を出していました。
後生掛自然研究路の噴気地帯を見下ろしながら進みます。
今回は、森の王者クマタカの姿はありませんでした。
残念…
私たちがブナの森を歩いている時に、上空を飛んでいたのかもしれませんね。
そんな事を考えてみると、何だか会えなくても楽しくなります。
手の届く高さにヤドリギを見付けました。
残されていた実は一つだけ。
冬の間、鳥たちが食べてしまったのかな。
あと少しでゴール。
と、まだ滑り足りなかったのか、どん欲に斜面を責める皆さん。
セッケイカワゲラがお見送り。
間もなくゴールです。
お疲れ様でした。
今回のイベントは、これ以上ないと言っていい程の好天に恵まれ、行程中は汗ばむ程でした。
標高による森の変化していく様子や、栂森からの絶景の展望、本年度最後の尻すべり等、参加者の皆さんには楽しんで頂けたと思っています。
本年度のイベントは今回が最後ですが、雪はまだまだ残っています。
新年度も楽しんで頂けるよう、頑張りたいと思っていますので宜しくお願い致します。
春山、残雪期も八幡平は楽しいですよ。
くどう