茶臼岳の巡視も4回目となりました。先回とその前は、強風の吹き荒れる悪天候。今回は良い日に当たったようで、巡視ではありますが、素晴らしい眺望が楽しみです。
キャットのスタッフは、もう今後は新雪は期待できないでしょうが、天候は安定するでしょうね。今朝の気温は-4℃ほど、春の気配が感じられるとのことでした。強風を”春風”といったこともありますが、今日はそんな無理も必要ないようです。
本日のキャットは私たちだけ、鞍部までの乗車で移動時間の節約2時ほど。時間はまだ9時前です。
キャット下車直後、前方にはっきりと深い、真っすぐについたトレースが見えてきました。右側の「大黒森」から「恵比須森」の方向に向かっているようです。
「恵比須森」山頂にはしっかり「茶臼岳」にスノーモービルのトレースが付いていました。ここから先は国立公園の特別保護地区、スノーモービルの乗り入れが禁止されている区域なのです。
スノーモービルは夏道からそれて、オオシラビソの樹林の隙間を茶臼岳方向に登っていました。
私たちは恵比須森西側斜面に付いたトレースの確認に向かいます。
スノーモービルの人たちは、この広大な斜面を楽しんだようですが、トレースは”黒谷地湿原”の方に伸びているので、確認に行くことにしました。
でも、しばしこの眺望をお楽しみください。岩手県の茶臼岳付近から見る秋田県鹿角の「五ノ宮嶽」、「皮投嶽」、遠くに青森県の「岩木山」と「八甲田連峰」、がくっきりと見えています。
スノーモービルのトレースは黒谷地湿原の吹きさらしの中で消えていました。ただ、八幡平の樹氷原に続く登山道(夏道)上にスキーによるものなのか、トレースが見えていたので確認のため登山道に向かうことにしました。
黒谷地湿原からの登山道にはトレースは見えません。とりあえず、ここからのスノーモービルの侵入はなかったようです。と、時間はまだ10:34分、「源太森」付近に白く見える樹氷が見えるのですが、何となく、それを見たくなってきたのでこのまま進むことにしました。
外気温は何度かわかりませんが、春風も吹かず暖かくて、この青空、このまま戻るにはもったいないと思ったのです。なんの躊躇もない判断です。
気持ちのゆとりから、オオシラビソのこんな姿が目にとまります。
そしてしだいに・・・
いつの間にか周りをスノーモンスターたちに取り囲まれて。
源太森山頂からの眺望です。真っ平らな八幡平山頂付近。中央右側に「陵雲荘」、その左側の凹みが「八幡沼」バックの稜線上の右に「八幡平山頂」300番の冬山指導標が見えています。私事ながら、八幡平の樹氷が見たくて5週連続で頑張ったのですが、毎回大荒れ、青空はなく、これが見たかったのです。今日の樹氷原には登山者が一人見えていました。
こんもりした奴と痩せたヤツ、様々な形のスノーモンスター。痩せたヤツが多いという印象です。今年のシーズンは荒天が多かったのはが樹氷がまだ準備中で、”お見せしたくなかった”からなのでしょうか?
あ~それで謎が解けた。
などと考えながら、私たちは青空バックの樹氷原の真っただ中にいる”幸運な登山者”になることができました。
名残惜しい。名残惜しくも、戻りの行程です。
オオシラビソの枝先に残る豆粒のような樹氷の痕跡。シャープなエビの尻尾は溶けてしまったようです。
黒谷地のあたりの絶景のロケーションの中で昼食を済ませたので今日は立ち寄りません。訪れる人もいなかったのか、小屋の入り口は吹き込んだ雪で覆われています。
茶臼岳の山頂を踏んで、茶臼岳登山口、「籾山」を経由して登り口の「御在所」に向かいます。
気温のせいで雪は少し湿り加減、いつもながら苦手な斜面です。
登山者からの情報によると、恵比須森のあたりについていたスノーモービルのトレースは昨日のもので、三台来ていたのだそうです。気持ちはわかるのですが、ここは国立公園の特別保護地区、スノーモービルの乗り入れ禁止区域なので、彼らは自然公園法違反ということになります。
秋田県側ではアスピーテラインの春山除雪が始まっていますが、岩手県側でもそろそろ始まるようです。雪景色は変わらなくても、心地よい”本当”の春風がそう感じさせてくれます。
あべ