本日は冬山巡視「茶臼岳」の2回目。風が少しありますが吹雪というほどでもなく、それほどの寒さは感じません。登り口の御在所駐車場はガラ明きで、どうやら貸し切りのようです。
キャットで恵比須森と大黒森の鞍部まで移動して楽をしました。約2時間ほどの時間短縮、さてこれからが本番です。
恵比須森のピークに前回取り付けたスノーモービル乗り入れ禁止の看板が雪で半分隠れていました。
降雪というよりも吹き溜まりになっていたようです。
杭を引き抜き、打ちなおして何とか大丈夫。この恵比須森から先、茶臼岳・八幡平方向は国立公園の特別保護地区で、スノーモービル等の乗り入れが禁止されているのです。
予定通り茶臼の小屋の手前から黒谷地湿原へ向かっています。
本日の相棒はオオシラビソが好きなのでしょうね。いつもこんな写真を撮ってくれます。
山盛の球果を付けた若いこのオオシラビソには何か訳があったのでしょうか。随分木力(?)を消耗したはず。
種はすでになく、球果の軸だけが面白い景色になっています。
葉の部分に目を向けると、下側と左側の先端が去年の葉で樹氷のなりかけ。整然と並んだ姿が何とも几帳面と思えませんか。画面の対角線上に軸(枝)があって、そこから下と左側に枝が伸び葉をつけているのです。
さて、オオシラビソ林を突っ切って黒谷地湿原に向かうと向かい風が強くてちょっと大変なことになりました。
悪天候には慣れてます。と軽口をたたいても、ここはどこなのやら、場所が開けているのでここは黒谷地湿原とわかる程度。向かい風で顔が痛くて露出しているホッペが赤くなっていると思います。
強風が雪を吹き飛ばし、雪面に大きな凹凸のうねを作っています。ツリーホールを避けながら進んでいますが、大きなものでは深さが2mを超すものも随分あります。
時折薄日が差して空が明るくなり、ささやかな感動を覚え、そのたびにカメラを取り出しています。
目指す茶臼の避難小屋は右斜め方向。間もなく夏道に合流するはずです。高低差の大きいうねの雪原を迂回をくり返しながらの行程。
そして、ついには青空。
前方に目指す茶臼避難小屋が見えたこともあり、空腹を忘れて周りの霧氷原にカメラを向けています。
霧氷は青空バックに映えると独り言。鼻歌さえも出てきます。
夏道は樹木がないので一応わかりますが小屋の前のうねがずいぶん高くなっていました。
特別に難儀をしたわけではありませんが茶臼避難小屋に到着です。いつものことながら、小屋の西側は風で雪が吹き飛ばされて地面が見えています。
かろうじて茶臼岳の山頂が見えていますが、雪が舞い眺望は望むべくもありません。
雪が舞い込み、小屋の入り口側は吹き溜まりとなり、冬用入口のドアも半分ほど雪に埋もれ、スコップで頑張らないと小屋に入れないようです。
風に開放され、入った小屋の室温は-15℃。暖かい訳ではありません、立派な冷凍庫ですが、それでも不思議と寒さは感じません。
さて、今度は戻りの行程。ここもツリーホールが深くて、もう少し視界が悪かったら落ちるだろうなという深さ2mを超すホールがそこかしこ。迂回迂回の連続です。
途中の開けた場所からは岩手山がデ~ンと姿を見せてくれました。遠くの景色は飛雪でモヤっていますが、それもまた各別とばかりに見入っています。
下山口の御在所のあたりが眼下に、旧松尾鉱山跡が見えています。このモヤった景色が今日のご褒美とばかりに、スカッとしていませんがこれもまた各別です。
旧スキー場のゲレンデのダケカンバが雪面に影を落とし、吹き飛ばされた雪がうねを作っています。
五色沼と御在所沼が見えてきました。下山口の駐車場はすぐです。
今日は雪質がよく、いつもは苦手な下りのスキーは快適でした。吹けば吹いたなり、来るたびに新鮮とはいつも思います。冬が寒ければ寒いほど春の訪れが楽しみです。
この次の茶臼岳はどんな姿を見せてくれるのでしょう。
心地よい疲労感が眠気を誘いそうです。
あべ