本日の冬山巡視は先週に続き2回目の八幡平です。樹氷原の竹竿メンテナンスの鹿角市山岳会の皆さんに冬山巡視の私たちと国立公園八幡平魅力アップ構想策定委員有志の皆さんが一緒のとても賑やかな山行となりました。
ただし天気が・・・
天気がいまいち。予報はどうであれ、初めて樹氷原に出かける人たちに青空バックの樹氷原を見せてあげたいものです。
意気揚々と。風もなくこれぐらいの天気であれば仕方ないかなとは誰しも考えていると思います。
眼下の大谷地湿原と菰ノ森。
雪が多いとか少ないとかは毎年聞かれますが、このアスピーテライン蒸ノ湯休憩所の積雪は昨年よりは多い3m+。
足取りは軽いはずでしたが、この登りはいつまで続くのでしょう。
でもこの霧氷は素晴らしい。この先の樹氷はきっと見ごろを迎えているに違いないとは誰しも思っているはず。
自然の造形とはいえ、この霧氷原の中を歩くのはちょっとした感動です。
空が少しだけ明るくなった気がします。
指導標220番の手前で風を避けながらしばしの休憩。天候はしだいに濃霧となり、同行の皆さんは多少の緊張感が感じられていましたが、”休憩”の声がかかると安どの表情。
山岳会の皆さんは作業をしながら先行しています。
目印の竹竿のところどころに黄色い旗が取り付けられていますが、八幡平にゴンドラってありましたっけ?もしあるなら、少しだけ乗ってみたい気がします。
再び濃霧の中。
氷がついて風にしなって、ついには力尽き、折れてしまった竹竿。
樹氷は先週よりは”らしく”なったものの、まだ準備中のよう。
藤助森付近で山岳会の皆さんに追いつきました。風の強いこの辺りでは目印の竹竿が何本も折れてしまい、応急処置としてオオシラビソの枯れ枝にピンクテープを括りつけています。
八幡平の頂上直下といわれてもどこにいるものやら、と皆さん。それでも、時折山頂の指導標300番が右側に見えているのです。
ここが頂上とわかるのは腰の位置に展望台の手すりが見えることと、指導標の柱があるから。
準備中の樹氷の他は何にも見えません。
それでも、”陵雲荘はこっち!”と30m間隔の竹竿が見え隠れしながら教えてくれています。
すぐ近くにいるのに陵雲荘が見つけられず、小屋のシルエットが見えた時に思わず出た言葉が、”あった!”でした。
やれやれ。
誰もが安どの表情。
それほど寒さを感じなかった行程とはいえ、室温0℃の小屋の中ではストーブの火はありがたく、泊っていきたいとの志願者が出るほど。
先週はこのころスノーモービルのエンジン音が聞こえ、我々は別行動となりました。もしかすればとは思いつつも、さすがにこの天気ではよほどの猛者でなければ来れないだろうと考えています。
再び濃霧の山頂を経由して帰路につきました。
国立公園八幡平魅力アップ構想策定委員有志の皆さんには、何にも見えない濃霧の中で緊張を強いられ、改めて難易度の高さを感じられたと思います。下山するにつれてガスも風もマイルドになり、休憩の声がかかると本日何度目かの安どの表情の皆さんです。
晴れる日よりも吹く日の方が多い八幡平の樹氷原はそれなりの用意と覚悟さえも・・・だからこそ青空バックの樹氷原に出会えた時の感動があると思います。そして何よりも、荒れる樹氷原に今年で26回目になるという竹竿取り付けをボランティアで行ってくれている鹿角市山岳会の皆さんには感謝の言葉しかありません。
あべ