天気はしだいに下り坂とか。風もなく、雪も降っていません。今日は新雪が少々というコンデションですが、茶臼岳はどんな姿を見せてくれるのでしょう。
登り口の「御在所」に、今朝はまだ除雪が入っていなくて、新雪が10センチほど。にわかに降った雪は、景色を冬に戻してくれました。
本日もキャットのお世話になり、贅沢にも、寒さも風もなく、ラッセルもない夏道を「茶臼岳」に向かいます。新雪があるのでスノーモービルのトレースは見えないかもしれませんが、「黒谷地湿原」に行くべきか、まだ迷っています。
少々積った雪は、"ダケカンバ"を覆って、進行方向の「恵比須森」を示してくれています。
それでも、ガリガリの上に積もった雪は場所によっては沈んだりという状況で、正直に言うと少々歩きにくいと思っています。贅沢は尽きないものだ、どこまで求めるのかと歩きながら考えています。
「恵比須森」に到着。この視界では西側斜面のスノーモービルのトレースは確認できるはずもありませんが、「黒谷地湿原」まで足を延ばしてみることにしました。
ここは「黒谷地湿原」へのショーカットの入り口。正面が「茶臼岳」に続く尾根。指導標が取り付けられていますが、我々はここから右に折れて、オオシラビソの樹林を進みます。
先々回スノーモービルのトレースを見た沢が眼下にあります。新雪のためトレースは確認できません。
白と黒の墨絵の世界のようだと感心しながら、この辺りのオオシラビソは割と背の高いヤツが多いな、と話しています。わずかばかりの生育の環境が、その差を付けるのだろうと考えますが・・・
視界は効きそうで効きません。それでも、初めてここに来た相棒の道案内のつもりで、斜面が沢に落ち込むこの”ヘリ”に沿って「黒谷地」方向に進んでいます。
ふと目にとまった”ダケカンバ”の立派な木。相棒の目はこの立派な姿にとまり、私の目はこの木の枝分かれした部分に生えている”コメツガ”にとまりました。太いけれども、中心部分は洞になっています。
太い”ダケカンバ”の隣にも、”コメツガ”を見つけました。枝のついていた場所のわずかばかりの腐葉土か何かを自分の栄養として生きているのでしょうか。殊勝にも私たちは、この木の十年後・二十年後を見たいものだと話しています。
安比川の最上流部の沢が見えてきました。ヘリの部分にできる雪庇は大きくないようです。斜め左方向が「黒谷地湿原」です。
”オオシラビソ”の植生密度と、大きさがずいぶん変わってきました。「黒谷地湿原」到着です。うっすらと「源太森」が見えています。と、ここで目にとまったのは”キタゴヨウ”。あれ!、と思いながらも他にもあるのか、と探しますが、二本しか見ません。何千本のシラビソと、たった二本+のキタゴヨウです。
せっかく雪を落とした”オオシラビソ”にまた、着雪。風雪は左方向からのようです。
にわかの風雪はこの木も樹氷姿に戻そうとしています。風上側に枝を伸ばせない姿は、強烈な風が吹きつける日本海側(秋田県側)の方向を教えてくれます。
「茶臼避難小屋」が見えてきました。
外気温はどれぐらいだったのでしょう。小屋の軒からは雫がタッチン、タッチンと落ちています。小屋の室温は-3度でした。時間は丁度お昼、昼食を摂って下山しようと思います。
うっすらと「茶臼岳」が見えています。
春の景色になれたこの身には、にわかの雪景色は少々テンションが下がる想いです。それでも、寒く感じない、この気温から、これも春の景色と感じさせられます。「茶臼岳」の冬山巡視はあと1回、この次に来る時はアスピーテラインの除雪作業が始まっていると思います。
あべ