天気予報は連続して晴れ、これ以上の条件はないくらいの日に当たり、泊り装備の大荷物でしたが、冬山巡視「八幡平Ⅰ」に行ってきました。

八幡平の樹氷原に続く目印の竹竿の取付を2月11日に完成させた地元山岳会の皆さんが、本日もメンテナンスのために登っています。今年は4回目の作業で八幡平山頂を経由して、陵雲荘までの竹竿取り付けを終えたそうで、本日は6回目の作業だとか。スタートは一緒だったのですが、山岳会の皆さんは、すでに先行して見えなくなってしまいました。

樹氷の最新情報は得ていました。雨と暖かい日が続いて、この八幡平の景色もすっかり春の景色に変わっています。八幡平山頂手前の「藤助森」に到着しましたが、ここもすっかり春の景色です。

くたびれて、立ち止まった時に目にとまった旗に励まされ、そうだよなと納得できて、また歩き始める。という繰り返し。

山頂周辺に残る樹氷の姿のワンカット。ネクタイをくわえて”行こうよ”とでも言っているように見えませんか?そんな造形がそこかしこ。

青空に突き出た”冬山指導標300番”がすぐそこです。

この姿にもセリフが付きそうですよ。

そして、八幡平山頂に到着。展望台越しに「岩木山」、その右には「八甲田連峰」が特徴のある姿をくっきりと見せてくれています。山頂の展望台は雪面に西側の手すりが見えています。今年は雪が少ないといわれていますが、この場所での積雪量はいつもの年とあまり違わないように見えます。風雪にさらされる”指導標300番”が、たのもしくさえ感じられます。

「陵雲荘」からながめる景色も変わらないように見えます。ここで、昼食を摂って午後からは、明日の巡視の下見に出かける予定です。

「源太森」から、なだらかで山頂がどこかわからない、ほどの八幡平冬の眺めです。

なだらかで、山頂が・・・見えています。先ほどの指導標の支柱が、オオシラビソの中から突き出ているのが分かりますか。私たちはこれからオオシラビソの樹林を抜けて、「見返峠」でスノーモービルのトレースの確認をします。

風の強いこの辺りにもウサギの足跡が見えます。猛烈な風雪の冬山に残る生の痕跡といえると思います。

ウサギのわずかばかりの踏圧が、周りの雪を吹き飛ばしてしまっても、風雪の中でこの足跡を残した。いつも感心してしまう自然の造形です。

「見返峠」手前付近ですが、斜面に大きなクラックがいっぱい入っていました。ここにもまた春の始まりがあります。

見返峠」からは「畚岳」、「秋駒」とそれに続く山々、「鳥海山」も朝からその姿を見せてくれています。

足元の雪面は凍ってスキーのエッジが効かないくらいです。それにしても、見返峠からの夕景は、外せないスポットです。

今年もやっぱり、スノーモービルのトレースがありました。アスピーテライン見返峠手前付近です。この位置は”乗り入れ規制区域”なので自然公園法の違反行為という事になります。どうやら明日は、このトレースの確認をすることになります。

もう、陵雲荘に戻ってもいいのですが、この場所で”夕焼けショー”を見たくて。

撮影者は”ミジンコ”のような、と言いますが、私の目には右に顔を傾けた口ばしのあるモンスターに見えます。どうですか。

この景色の描写に、どんな表現ができるのでしょう。”きれい”だけでは浅すぎる、ありきたりの表現などいらない、という気がします。

あたりは暗くなります。そろそろ小屋に戻ろうと思いますが、もう少し、もう少しと思ってしまいます。

2月19日、凌雲荘から見た八幡平の朝焼けです。夜が明けるのを待ちきれず、こんどは”朝焼けショー”の撮影に出かけました。秋のうちに薪を運んでいたので、贅沢にもストーブを焚いて、暖かい夜を過ごすことが出来たのです。

朝から気温は高め、夜中に小屋の屋根から雪が落ちました。風は少しありますが、昨日の雪面のガリガリはなくなっています。予報通り、今日も晴れています。

この二人は、今日の絶景に見とれています。

「秋田駒ヶ岳」はこんなに近かったっけ?と話しました。手前に見える「畚岳」が”秋駒”のメンバーのようにも見えます。実際は、この八幡平から最短で一泊二日ほどの時間を要するのですが、本当に近く感じます。

去年は視界不良で雪庇に苦心したため、ここ「メガネ沼」から夏道に出て、パークサービスセンターに向かっています。

現在の「鏡沼」はこんな感じでした。ポツポツあいた表面の穴は何でしょう。”ドラゴンアイ”にはまだ早いですが、この雪面下では準備は始まっていて、沼の縁の斜面に雪の中を浸透して沼に注いだ”縦じま”が一杯見えていました。

昨日見たスノーモービルのトレースは、見返峠駐車場南側を「藤七温泉」方向に進んでいました。正面は「岩手山」、手前の屋根は”さわやかトイレ”です。

何日前のものかはわかりませんが、複数台のトレースです。

まるで春スキーのようですが、トレースをたどって、「藤七温泉」方向に進みます。チラリと頭に”行きはよいよい帰りは・・・”とのメロディーが浮かびます。

シールを張ったままなので、快適な滑りではなかったのですが、「藤七温泉」の手前まで降りてきました。スノーモービルはこの周辺と向こうの斜面にトレースを残しています。

そして、このトレースは樹海ラインを走り抜けています。厳密にはこの場所は規制区域から少し外れています。規制区域と知らずにスノーモービルを乗り入れるのであれば、周知されていないのかな、とは思いますが、どうなのでしょう。

さあ、戻ることにしました。尾根の雪庇はどんどんくずれています。ダラダラの登りを「見返峠」に向かいます。今回は天候に恵まれたとつくづく思います。風もなく、登りの行程なので暑くて、アウターも脱いでいました。

「見返峠」に戻ると、「鳥海山」が傘をかぶっていました。三日続いた八幡平の快晴も明日には天気が変わりそうです。

八幡平の樹氷は早めに推移しているようですが、この晴天の三日間で大勢の人たちが訪れたようで、下りのトレースは踏み固められて、ツボ足がずいぶん残っていました。こんな暖かい日が続くと、思いは厳冬を忘れ、春に向かってしまいます。八幡平の冬山巡視はもう一度、3月に予定しています。もう一度晴天を期待しています。

   あべ