今年も冬山巡視が始まりました。今月と来月、八幡平と茶臼岳で巡視を行う予定ですが、本日は茶臼岳。国立公園のスノーモービル乗り入れ禁止区域の看板取付という目的もあります。

キャットを利用することで、規制区域までの登りにかける時間と疲労を大幅に軽減できます。

快適なキャットの利用で楽をした分、軽快な歩き出しの予定でしたが、雪が重くてこの先が大変だなとの予感が少し・・・

それでも、岩手山と早池峰山がずっと見守ってくれて、何となく見てしまいます。風も寒さもありません。雪もすね位まで沈む程度なのでラッセルとは言わないと思います。

恵比須森まで行って西側の斜面にスノーモービルのトレースがあったら、黒谷地湿原まで確認に行かないとな、などと考えています。

ま、それはそれで。今年(昨年)も、オオシラビソの球果がどの木にも山盛り一ぱいついたようで、実を落とした姿でもなお楽しませてくれます。軸の先端や根元にクールでドライな花が咲いたように見てしまいます。

こちらはコメツガ、ちっちゃい球果がビッシリと。

この小さな球果は乾燥すると一枚一枚の鱗片が開いて、湿気があると閉じるんだそうです。この位置の球果は全開で中の種は”落ちたよ~”と見せてくれているようです。小さな球果、小さな鱗片、ちっちゃな種。

などと感じながらも、歩くペースで景色もゆっくりと変わります。ふと目をとめたのはオオシラビソの朽ち木、三角の頭とくちばし、丸い目玉があって、前足をそろえて垂直に伸びて、今まさに天高く飛び立とうとしている。と見えないでしょうか。

こちらも、これは仔か。

そろそろ茶臼山荘が見えてくる頃ですが、足元にはこんなツリーホールも開いています。深さは2m以上、よそ見をして落ちたら、アリジゴク状態になりそうです。風の強いところなので”うね”も高く、風が樹林の中を通った時に残る”うね”と、並行に残る風の痕跡もまた今日は感じることができています。

茶臼山荘到着。雪は多くもなく、少なくもなく、概ね例年並みというのでしょうか。とりあえず、本日の行程はここまで、午後からはスノーモービル乗り入れ禁止区域の看板取付があるのでこのまま下山します。

茶臼岳の東側の斜面には二人、三人のボーダーの方なのでしょうか登ってくる姿が見えています。

登りの途中、雪面に点々とウサギの食痕と糞が見えていました。木の皮と新芽をかじった跡のようです。7~8個の糞はそのお礼肥のようですのようです。

そして、雄大な岩手山をバックにしたウサギの”赤ション”です。これは風で周りの雪が吹き飛ばされてこんな姿になったもので、てっぺんの平たい部分が元の雪面の高さ、雪が吹き飛ばされて顔がでて、さらに吹き飛ばされてマントの部分、風は面白がって、ついに足の部分まで露出させてこんな芸術的な姿を見せてくれています。

戻りの行程では雲がかかり、早池峰山は見えなくなっていました。

八幡平国立公園の車馬乗り入れ禁止区域は、公園の特別保護地区であり、茶臼岳周辺から黒谷地湿原、八幡平山頂周辺は自然公園法でスノーモービル等の乗り入れが禁じられています。                 スノーモービルの乗り入れ禁止の看板は、進入口になっていると思われる松川、柏台、松尾八幡平VC脇、そして安比スキー場近くの林道の入り口にも今年新たに取り付けました。

次回の巡視は樹氷の八幡平です。

   あべ