前回の茶臼岳に続き、冬山巡視は今回、八幡平に出かけました。毎年恒例になっている樹氷原竹竿取り付け作業の鹿角市山岳会の皆さんと一緒です。天気は午後から吹雪と予報・・・

今年の雪は多いか、少ないか、という巷での問答。

ここ、蒸ノ湯休憩所に限定すると、看板の高さはずいぶん高い位置に見えるので、まだ少ないと思います。

今日が4回目の樹氷原竹竿取付の鹿角市山岳会の皆さん。先週は作業3回目にして、八幡平山頂、陵雲荘まで取付いたそうで、今日はその点検をするのだそうです。

天気予報では、夕方から明日にかけて大荒れになるとか。晴天などという贅沢は望めるとは思いませんが、午前中はいいのかな、と考えています。

天気は曇り、風はありません。時々日が差して、こんな景色を見せてくれます。

八合目「田代沼」に到着。本格的な樹氷はここから始まるのですが、ここから見える樹氷原はまだ、成長過程にあるようです。この時間(11:00ちょっと過ぎ)下山者が一人見えます。

樹氷原に続く竹竿をたどりながら・・・

進行方向に竹竿が2本見えたり、時々3本見えたり。

時々日が差して。

スノーモンスターの姿を見たり!下顎のあたりが風で上下に揺れています。

山頂から600m手前の「藤助森:1604m」に到着。進行方向に竹竿は1本だけ見えています。頭の中ではここから、右寄りに進んで、緩く左に進んでいくと「八幡平」山頂とわかっていますが、約30m先の竹竿が見えません。「ゲンちゃ~ん、ちょっと右だ、右!」と声がかかります。

真っ白の世界、竹竿に取り付けた旗がパタパタ揺れています。バックは樹氷原なのですが、シルエットだけが何とか見えています。

何となく、頂上直下の樹氷原の中にいるとわかります。オッ、山頂展望台に取り付けた300番の”指導標”が見えました。

山頂展望台は大きな雪の塊と化しています。かろうじて八幡平山頂の道標と展望台の手すりの一部が見えるだけ。いったい、今年の雪は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

展望台の東側の手すりが雪面とフラットになった年があるので、それから見ると少ない気がしますが、風により吹き溜まりの様子が変わってきて、山岳会の方たちの話によると、先々週の作業の時、吹き溜まりのウネを超すときに胸までの雪があったそうです。樹氷の山にはいったい、どんな風が吹くのでしょう。

我々はここで引き返すことにしましたが、鹿角市山岳会の皆さんは陵雲荘までの竹竿の点検を兼ねながら、小屋で昼食を摂ってから戻るそうです。

一瞬、日が差して山頂周辺の特徴のある小ぶりな樹氷群が少しだけ。ご褒美のつもりでしょうか。

ついさっきのトレースは風で吹き飛ばされて、すでに見えません。

時々、サ~と日が差して、樹氷原を少しだけ見せてくれます。

登りの行程ではそれほど気にならなかったのですが、戻りは向かい風となり、露出した顔の痛いこと、痛いこと。まるで、ご褒美のようにちょっとだけ日が差してくれることがありましたが、モタモタしていると、光がさ~と流れて真っ白な世界に戻ってしまうのです。

何とかスキー場まで戻ってきました。先ほどまでの風はどこに行ったのでしょう。

八幡平の樹氷原への道にはスキーやスノーシューのトレースがたくさん付いていました。吹き日もあれば、晴れる日も。誰もが、青空バックの樹氷原を見たいと思うに違いありません。トレースを残した人たちはどうだったのでしょう。晴れた日の樹氷原を見ることができる人は、幸運な登山者だと思います。

この山は自分の足だけが頼りの樹氷の山、”登山者の聖地”なのですから。

   あべ